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親友の憧れの先輩
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「わかった。わかったから、本当にわかったから。
だからさ、ウザイから離れてくんない?」
「そんな事言わないでよおおおおぉぉぉお!!」
登校中。
情けなく涙をボロボロ流しながら親友に抱きつく。
周りの目が痛いけど、今は気にしない。
「だぁー!さっきから鬱陶しい!あと、痛い!肋骨に微妙に当たって痛いんだよ!このチビ!」
「うわあああああぁぁっんんん!!!」
「うるせーーーー!」
引き剥がそうとする親友に逆らって、
僕は腕に力を込める。
僕だってこの歳で男に抱きついたりしたくないよ。
だけどね?
人間 緊急事態になると誰かに縋りたくなるの。
気持ちはわかるでしょ?
「でも、オレは羨ましいんだけど。だって夏目先輩とあの楸先輩だろ?スゲー羨ましいんだけど」
「今すぐにでも変わってあげるよ!」
「緊張で死ぬから遠慮する」
即答でフラれた。
まあ、人生そんなもんだよね。
上手くいかないことだらけ・・・
「って、そこは諦めたらダメだろ!試合が終わる!」
「お前は何と通信してんだ!?」
やべー、優樹が壊れた。もう手遅れだ。
と失礼な事を言いながら親友は僕から距離を置く。
話は少し戻って昨日、突き飛ばした後。
僕は夏目さんを(どうやったか覚えてないけど)部屋から追い出して、鍵をかけて、引きこもった。
そして、早朝に風呂と支度を済ませて今度は親友の部屋に行って引きこもらせてもらった。
要するに避けた。超避けた。
なんで被害者の僕がこんな事しないといけないのかわかんないんだけど!!
どう考えても向こうが悪いのに!!
「まぁ、普通に考えたら大変だよな。あんなすごい人と同室とか。先輩だし余計に気を使うだろうし。」
「何に気ぃ使うんだ?」
第三者の声に僕たちは勢いよく振り返った。
そこにはニカッと笑顔を浮かべた綾人さんが手をヒラヒラとふっていた。
「ひ、楸先輩!」
「おおっ、椎名じゃねぇか!ユキちゃんと仲いいんだな!」
「・・・ユキちゃん?」
親友は僕の事をじっと見る。
僕は苦笑いを浮かべる。
「ユキちゃん、熱は下がったか?蓮が心配してたよ」
「大丈夫です。すっかり治ったので。お気になさらず。むしろほっといてください」
「ユキちゃん!?すごい震えてるけど蓮と何かあった!?」
やめて。聞かないで。
答えられないから。
「ま、まあ、蓮は人間関係は不器用だけどいいやつだから。仲良くしてやって?もちろん、俺とも」
じゃあな、と綾人さんは爽やかな笑顔を浮かべて、去っていった。
「優樹、いいよな。楸先輩とあんなに普通に話せて」
はぁ、と親友はため息をつく。
「せっかく話せるチャンスだったのに・・・」
「・・・綾人さんの事、好きなんだな」
「そりゃあ、楸先輩に憧れてこの学校に来たぐらい尊敬してるからな」
「えっ!?そうなの!?」
それは初耳だ。
でも、確かにコイツ スポーツ大好きだからな。
たまたま試合会場とかで先輩を見たりしたのかな?
「男ばっかとは思わなかったけどな!」
複雑な顔をする親友に僕は苦笑いを向けた。
君の憧れの先輩が、あんなカフェでバイトをしているだなんてとても言えない。
「本当にいいなぁ、優樹は。楸先輩と普通に話せて・・・。俺なんか緊張とかで話せないのに・・・」
「なんか視線が怖いんだけど!?やめて!睨まないで!」
何も知らない親友は嫉妬の眼差しで僕の事を放課後まで睨み続けたのだった。
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