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キスまで45センチ ⑧
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入学から1ヶ月と少しがたった。
周りは部活も既に体験入部がすみ、本格的な入部へと動いている人も少なくない。
俺はモデル業が忙しくて部活に入るつもりは今の所なかった。
兄さんも、
(灯夜が入らないなら僕だってどこも入らない!)
の一点張りで、どこにも見学にすら行かなかった。
撮影も週に何度か学校を早退したり遅刻したりするくらいの物が相変わらずあり、特に変わったことはない。
「おーい灯夜、お前凄いな!!」
「ん?何?」
廊下で他の男の子たちと話していたはずの日和が、俺の机に寄ってきて、満面の笑みで手をついた。
変化といえば、日和という人生初の親しい友達ができたことか。
昔から、モデルという理由で遠巻きにされてきたので、こういうのは新鮮で、純粋に嬉しい。
「お前、最近凄いミステリアスって女子の間で人気になってるらしいな!」
(ミステリアス?)
「なにそれ?」
首をかしげる兄さんとともに、俺も首を傾げた。
「ほら、お前遅刻や早退多いだろ?でも体が弱いようには見えないし、不良にも見えない。何してるかわかんない、でもそれがいい!!って女子が増えてるんだってさ。やったな!」
「…いいことなのか?それ」
よく分からないなぁと日和を見上げると、日和が
「なんだよー」
と声をあげた。
「モテるんだからいいことに決まってるだろ!良いよなぁ灯夜は。でも女に見向きもしないの勿体無い!!俺にとってはその方が話しやすいけど!!」
「じゃあいいじゃん」
よく分からない理論を力説する日和に笑う。
日和も、何だかんだずっとこんな調子だから、クラスの人気者として株を上げていた。
「女の子からモテるんだよ!?勿体無いよ!?」
「んーそう言われても…俺は兄さんや日和の方が大切だし」
(わーい!灯夜大好きー!!)
ぎゅっと抱き着いてきた兄さんを抱きしめると、
「お前…いい奴だなぁ!!!」
と叫びながら泣き真似をした日和が兄さんもろとも俺を抱きしめた。
もー、などと言って笑っていたら、廊下から大音量の黄色い声。
芸能人専用クラスは別の校舎のはずだから、こんなところで黄色い声が上がるのは珍しい。
さっきまで普通に話していた男の子たちも、気になったようでちらと廊下をのぞいたりしている。
「きゃー!!甘利くんこっち向いてー!!」
「甘利くん今日あたしと帰ろー?」
「え、ずるい!私も私も!!」
集団が近づいて来て、黄色い声から中心に甘利がいると分かった。
「お?なんだこの騒ぎ」
俺を抱きしめていたのを解除し、日和もドアの方を見つめた。
曇りガラスのはめ込まれたドアが開く。
大量の女の子と、甘利がそこから覗いた。
「ねぇ…都宮灯夜くんって子…いる?」
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