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初めて見る顔
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『?!?!
お、おいっ!海翔!!海翔!!大丈夫か?!』
心配そうな顔をした歩輝が走ってきた。そして俺をそっと抱き起こしてくれた。
『海翔…?なぁ…どこか打ったか…?』
俺は歩輝に《大丈夫だから、ごめんな》そう言おうとした。
『あ…………………あゅ……………だぃ……じょ……ご、め』
((あー、ヤバイ。腹思いっきり蹴られたから上手く酸素が吸えないや。苦しい……。))
そんな俺を見ると普段優しい顔の歩輝が、俺の見た事のない表情になった。初めて見る顔。キレた。あの歩輝が。
『ちょっと待っててな、海翔。すぐ終わる』
そう言って歩輝は俺を静かに寝かせてから俺の方に背中を向け、影宮くんの方へ向かった。
((え?終わるって何が? ねぇ歩輝、何するつもりだよ…))
『あゆ…………ゃめ……………』
どんどん声が掠れていく。出なくなっていく。苦しくなっていく…。
ガッ!
数秒後、何か鈍い音がした。それは影宮くんの頬に歩輝の右手がヒットした音だった。ガクッと倒れ込む影宮くん。
そして歩輝は影宮くんの前に立ち、
『おい、お前。海翔に何してくれてんだよ。
海翔が、お前に何をした?仲間に入れって誘ってる海翔がなんで、お前に蹴られなきゃいけねぇんだよ……答えろよ…。』
切れた口元から出た血をプッと吐いて、立ち上がり歩輝と睨み合う影宮くん。
『答えろよって言ってんのが聞こえねぇのかよ、影宮ぁぁぁぁっ!!』
((このままじゃ……このままじゃ2人とも……だめ…。))
俺は力を振り絞って歩輝の足元まで這って行き、歩輝の足首を掴んで、必死に叫んだ。
その時意識が遠のいていき、俺は意識を失った。
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