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ごめんな
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加賀視点
『おーい影宮くーーーん!』
海翔が影宮を呼びに行ったか。不安だから着いて行こう。
いつも海翔は俺の前にいる。幼い頃だっていじめっ子達にやられてる俺を助けてくれたのは海翔だった。
『やめろよ、歩輝嫌がってるじゃねぇかよ!父さんが言ってたぞ!弱い奴は、自分が1人になるのが怖いから仲間を巻き込んで自分より弱いヤツをいじめるんだって!ホントはそいつが1番弱いんだって!』
いつだって俺はお前にたすけられてばっかだったよな、海翔。
海翔は男女問わず、誰とでも仲良くする。いじめられてるヤツがいればどんな相手に だろうと1人で助けに行く。危ないことだってやっちまう。誰にも言わずに、ただ相手を助けることだけ考えて行動しちまうんだ。それが今回の原因…。俺がもっとそばにいれば。ごめんな。ごめんな、海翔。
影宮が『さっさと消えてくれ』と言った時、
明らかに奴の目が変わった。それでも奴の様子に気づかない海翔はまだ真剣に話し続けようとする。
『海翔!!逃げろ!!!!!』
俺の声は海翔に届く前にかき消されてしまった。
ガッッッ!!!!
『!!!!?!!』
俺の足が海翔の方へ駆け出した瞬間。海翔が勢いよく芝生の上に転がった。脇腹を押さえている。
『海翔!!!!!!』
すぐに俺は海翔の身体へと駆け寄って抱き起こした。どうやら脇腹を蹴られたようだった。呼吸が上手くできないのだろうか?、言葉をしっかり言えていない。海翔が精一杯振り絞った声は掠れていた。だがしっかり通じた。
《歩輝、大丈夫。ごめん》
((なんでお前はこんな時まで他人を心配するんだよ…。自分のこともっと大切にしろよ…。お前は…ほんと………ほんとバカだよ……。))
『ちょっと待ってろ。』
そう、海翔に呟くとゆっくり身体を戻してやった。
(海翔をこんなにしやがって…許さねぇぞ影宮………)
その時の俺はどんな顔をしていたんだろう。俺の顔を見る海翔の目は怯えていた。その後、俺は影宮の方へ行き、思いっきり奴の頬を殴ったことしか覚えていない。
怒りでどうにかなりそうだった。いや、もう何て言ったかなど分からなかった。
もう1発、殴ってやろうとした時に足に違和感が。手だ。海翔の手が俺の足を必死に掴んでいた。
((か…海翔?))
『あ………あゅ…き…!もぅ……もう、やめ……やめて…!
もう…いい…からぁ……だいじょ……ごめ…あゅ…………』
海翔が泣きながら俺の足を掴んでいたのだ。
《歩輝。もうやめて、もういいから。大丈夫だから、
ごめん。歩輝》
海翔はそれだけを繰り返していた。そして海翔は言い終わるとガクンッとその場に崩れ落ちた。俺はやっと正気を取り戻した。
((このままにしておくと海翔が危ない。))
そう思った俺は影宮に
『俺は海翔を保健室まで連れていく。お前の事、許してやろうなんて考えてねぇからな』
そう冷たく奴に言い放つと俺は海翔を抱きかかえてクラスの友達に医務室へ行ってくると伝え、医務室へ向かった。
影宮は小さく舌打ちするとその場から立ち去ってしまった。
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