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あの時の……。
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影宮視点
それから数日経った土曜日の朝、電話が鳴った。
出たのは母さん。玄関で誰かと話しているようだった。
しばらくするとガチャン!と受話器を置く音と、ドタドタと階段を上がって来る音。
『蓮!!!
あんた、櫻井さんの息子さんを殴ったって本当なの?!
今、電話があったのよ!』
『さ………櫻井……さん…?』
((って…………誰だ…?
殴った…………………………?あっ、この前の公園の…っ。
でも3人いたよな…その中の1人…、))
『え、母さん……櫻井さんってどーゆー人…?』
俺は確認の為に恐る恐る母さんに小声で尋ねる。
『はぁ?!櫻井さんって言ったらこの地域で1番お金持ちの櫻井さんよ!旦那さんが病院の委員長やってる、
息子さんは…確か、背が高くてなんかみんなをまとめるリーダーみたいなタイプの子だって近所の人が言ってたかしら。
しかも櫻井さんの息子さんと仲良い友達まで怪我して帰ってきたって…。
あんた本当に殴ったの?!』
((あ゛ぁぁ…………あの時、鼻血出してた奴だぁ……
俺、殴ったわぁ………。))
今更、殴ってしまった事を後悔する。
『う……うん。だってそいつと、その仲間に猫がいじめられてて、やめてって言ってもやめてくれなくて……』
『だからって殴ることないでしょう?!?!
あれだけ喧嘩はダメっていつも言ってるのに……!
あんたさえ………
あんたさえ生まれて来なければ今頃あたしは幸せに
暮らしてたわよっっ!』
((………俺だって自分の生まれてきた理由を聞きたいくらいだよ……毎日毎日、母さんに蹴られて殴られて…。
この世界に味方なんていない。
こんな腐った人生なら生まれてこなければよかった。))
…………そしてその後、いつもの様に母さんに殴られた。
悔しさと悲しさで俺の目から涙が出て頬をつたった。
それから親父と母さんが離婚するのに、そう時間はかからなかった。
両親は俺を捨てて、それぞれの道を進むことに決めた。
俺は、そんな2人から生活費を毎月を振り込んでもらうことを条件に、この家に1人で住んでる。
その頃は1番精神状態が不安定で自傷行為もした。
《自分なんて生きてる価値はないんだ》って思って。
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