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2人きりの体育館
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『何や、その顔と構えは』
京佑が謝ると駆は目を見開き、口を開け身構えていた。
『そやかて……京佑にそんな風に謝られた事なんて今まで無かったし………何か仕掛けて来るんやないかて、焦ってんねん……』
『おまっ……人が真剣に謝ってはるのに何やそれ』
『そ……そか…。す、すまん』
『何で俺がここに居るてわかったんや…』
『お前いつだってこの体育館で練習してはるやろ?部活終わった後も、休みの日も。
いつも俺はお前を見とったからわかったんや。
うちのバスケ部1年のバスケバカは嫌な事あるといつもここに来るて知っとったさかい。』
『バスケバカて何や!ゴラ゛ァ!』
俺は足元に転がっているボールを拾う。
『バスケバカはバスケバカやろ、あほ。
…………せやけど俺は…そんなバスケバカの事をあほや思う反面、すごい思うとったんや、憧れの存在でもあったんや。
自分の好きな事はとことん気の済むまでやり遂げる。何回も何回も練習して成果を出す。どんどん上手くなっていく。何があっても諦めへん、バスケバカのプレーを見るのが好きやってん。
お前は何に関しても本気になれへん俺なんかとは全然違ったんや。』
言い終わり、後ろに立っている駆の方を向くと駆は呆然とその場に立ち尽くしていた。
駆はハッと意識を取り戻すとカーッと顔が赤くなっていった。
『…なっ、何なん?!いきなり!!
俺、今京佑に励まされてんのか?!
何でそんな恥ずかしい事サラッと言えんねん!!』
『…恥ずかしい事……なのか…?』
『ーーーーーーっ////!!!
そんなん言われた方が恥ずかしなるで!!もーー…………。
……何でこんなに褒めてくんねん…褒め殺しやん(コソッ』
その場に蹲る駆。
『…ん?なんか言ったか?』
『ゆっ…!言うてないわ!!』(ビクッ
『ほな、帰ろか』
駆へ手を差しのべると、しゃあないな!と俺の手を取った。
体育館を出ると雨は上がっていた。
『雨……止んだんやな…………ぶえっっくしょい!!!』
『うっわ…汚ったないくしゃみやな。こっち飛ばしたら殴るで』
『汚い言うな!
なぁ……さっきも言うたけどもーちょい優しく勉強教えてーな』
『お前の出来次第やな』
『何なんそれww酷いわぁ……w』
京佑は駆を見つけた事をみんなに連絡する。
『もしもし?あ、俺や。駆、見つけたで。…ん?今?学校や。
……………おぉ。おおきに。((ピッ
あいつらもお前を探しに来とるんやけど、この付近ウロウロしとるらしいから皆でこっち向こてるて、せやからここで待つで。』
『そっか…みんな来てくれたんや……お礼言わんとなぁ』
駆は照れた様に頭をかきながら微笑んだ。それから数10分後、校舎の入口に4つの影が見えた。その影はどんどんこちらに向かって来る。
『かーーーーーけーーーーるぅぅぅーーーー!!!!!』
4つの影の中でもスピードが明らかに違うものが1体。
名前を叫びながら走っている。
『ゆっ、柚樹か?!暗くてよく見えへんけど…、』
『うわぁぁぁぁぁぁかーーけーーるーーー!!!!!』
駆の目の前まで走って来るとすごいスピードで駆の胸に顔面から飛び込む。その反動で一緒に倒れ込む駆。
その影はやはり柚樹だった。
『かっ…駆ぅぅぅ…心配したんだぞぉ゛ぉぉ…無事で良かった゛ぁ…』
『ちょっ、駆?!顔、色んな汁で、すごい事になってんで!とにかく泣き止んでくれや、せっかくのイケメンが台無しやでー?』(ニコッ
『お、おう……………』(ズビッ
柚樹の顔は涙と雨と鼻水でぐしゃぐしゃだった。駆は自分のパーカーの袖で目元の涙を拭った。
『あれ………?みんな傘はどーしたん…?』
駆は4人を見回したが誰も傘を持っていなかった。
『……早く駆を探さなきゃって必死で…傘なんて刺しながら走れないしね…でも1本くらい持ってくるべきだったな…、さすがに寒いし冷たい…』
俺が笑いながら言った直後、
『ぶえーーーーっくしょい!!』(ズルッ
『……っくし!』
駆がブルブルと震えながら派手なくしゃみをぶちかますとそれに続いて陸人も静かにくしゃみをした。
季節は夏で気温は高いのだが傘を刺さずに、走り回ったのだから雨に濡れ、寒くなるのも当然なのだろう。
『お前くしゃみ、うっさいわ!』
『はい、320kmーーーーーww』
『え、何や320kmって。何の話?』
よくぞ聞いてくれた!、と言わんばかりのドヤ顔をして、両手を組みながら柚樹はヘラヘラと笑いながら答える。
『知ってっか?個人差はあるんだけど、くしゃみした時の速度ってな、時速320kmも出てんだぜ?新幹線とかフェラーリの最高速度とほぼ同等らしい』
『えっ、柚樹何でそんな事知っとんねんwwww』
思った通り、こういうくだらない話には駆が食いつく。
『さっきやった科学の教科書に掲載されてたんだよ!印象に残っちゃってさーww』
『ほんまかそれwwwwwww』
((そんな事覚える暇あんならちゃんと勉強しろよ…w)
『なぁ、その話は置いといてもう帰らねぇ……?このままだと風邪引く。風呂入りてぇ……』
くしゃみの話に影宮くんは飽き飽きしている様だった。
『あっ、そうだね。それじゃあ帰ろっか』
こうして俺達は、無事に駆を連れて帰る事に成功した。
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