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それぞれの家へと
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あっという間に夜7:00。
『あ゛ーーーーーッ終わったーー』
俺達3人は声を揃えてそう言うとその場で仰向けになって転がった。
今日の分の課題が全て終わったのだ。
『終わったんか…疲労死しそうや…』『だなーーー…』『寝みぃ……』『腹減った……』
みんな疲れが溜まっていた事とノルマが終わった事で安心したのだろう、気が抜けた声で口々にそう言った。
『ほな、もうこんな時間やさかい、自分の荷物まとめて帰るで。』
『おぉーーーー……』
みんなが立ち上がって自分のバッグにタオルや服、勉強道具などを詰め込んで帰る支度をする中、1人だけ微動だにしない奴が1人…。
『おい、早よ立ちーや。帰るんやから』
京祐が右足で、駆の背中をゲシゲシと蹴った。
『もーちょいゴロゴロさせてーな…!疲れたんやぁぁ…』
そう言いながらゴロゴロと横に行ったり来たりを繰り返している。そしてそれを見て呆れる京祐達。
数十分後、駆はやっと起き上がり荷物をまとめ始めた。
そして全員の支度が終わると影宮くんの部屋を出て玄関へ向かう。
『じゃあなぁ…雪、ミケ……元気でな…』
『いやいや、おい陸人。なんでそんなもう一生会えないみたいな雰囲気になってんだよw』
『ん゛ッ?!俺の靴がないで!?どこや!』
『あ、そーいえばさっきリビングのソファーの下にミケが何か運んで隠すの見たな』
『このヤロッッ……』
最後まで騒がしいんだな、このメンバーはw
駆はミケを睨みつけるがミケは余裕の表情で前足を舐めている。リビングの方へ走っていく駆を置いて俺達は玄関を出た。玄関の門を片手で開けながら柚樹が振り向きざまに
影宮くんに言った。
『3日間ありがとな!』
『おう』
そう言う影宮くんの表情は少し微笑んでいる様に見えた。
すると奇声と共にドタドタとこちらへ向かってくる足音が聞こえてきた。その正体は駆。ズカズカとやって来て俺達の前で止まった。
『な゛ぁぁぁ…ッ!なんでオレの事置いて行くんッ?!』
『まぁまぁ、落ち着いて駆…みんなここで待ってたよ…』
『そ、そか………ならええわ!うんうん、』
やはりこういう時、駆を抑える事が出来るのは陸人だ。
正直言って陸人がいて、いつも助かっている。ついでに駆もバカで助かる………………。w
『あ、そうだ!今度みんなで昼飯屋上で食おうぜ!楽しそう!』
『みんなの連絡先交換したんやし明日以降の事は今やのうても、いつでも連絡取り合えるやん、ほなまた明日学校でな』
京佑がバッグから愛用のヘッドホンを取り出し、首にかけ俺達に背を向け手を振りながら帰って行った。
『あーあー、さっさと1人で先帰っちった…。
…じゃあ俺らも、そろそろ帰るわ。マジありがとな影宮!これでテスト対策バッチリだ!
駆と陸人は、こっち。俺はあっちだからここでお別れだな。じゃっ!』
駆と陸人。柚樹に別れて、それぞれの方向へと帰って行った。
残ったのは影宮くんと俺だけ…。
俺は3人が見えなくなるまで玄関前で手を振りながら見送り、見えなくなると影宮くんの方へ振り返った。
『3日間本当にありがとな。あいつらと仲良くなれたみたいで良かったよ。俺のした事は間違いじゃ無かったって思えた。俺もそろそろ帰るわ。』
『ん、俺の方こそありがとな、友達と一緒にいる事が楽しいなんて初めて思えたかもしれねぇわ。久しぶりに楽しかった』
優しく微笑みながら影宮くんの顔を月の光が明るく照らし、夜の風が髪を揺らした。
『…お前やっぱ、そーやって笑ってる方がいいよ。影宮くんのその顔、好きだよ。
じゃあまた学校でな、
………俺、……昨日の夜の事、後悔してないから。』
……気付けば俺はそんな言葉を口にしていた。
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