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遅刻
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…ガラッ!!!!
勢いよくドアを開けたのは9:00の事だった。やはり遅刻。間に合わなかった。生憎、1限目は沢ちゃんが担当の国語。
息を切らしながら教室へと入ってきた俺を見るとフゥ、とため息をついた。
『休み明けに遅刻とは、いい度胸だな。ちゃんとした遅刻の理由……用意してあるんだろうな?』
パタン!と手に持っていた教科書を閉じると胸の前で腕を組んだ。
『リードが外れて逃げ出したゴールデンレトリバーを捕獲して、その飼い主の男の人と話してて…遅れました』
『…………そんな理由であたしが納得するとでも…?罰として帰りのHR後、ノート回収して職員室まで持って来て!』
『なんで怒られなきゃいけないんだよ…本当の事言っただけなのに…』(ボソッ
『わかったら返事!そんで早く座れ、授業再開するぞ』
『はい……』
……………キーンコーンカーンコーン…………
今日は、ろくな事がない。朝は犬に顔面舐められるし遅刻するし怒られるし放課後掃除だしわからない問題当てられたし……。
やっと訪れた昼休み。いつもの様に影宮くんと一緒に木の下に向かった。
『朝言ってたアレ、まじでか。犬の奴』
『あぁ、マジだよ。なのに沢ちゃん信じてくれてないしさー、ほんと今日ついてないわ』
『俺は信じるぞ』
『まじかッ……サンキュ。』
2人で寝転がり木を、空を見上げる。
俺達が今、座っている所に立っている木。
つい最近まで桜の花が咲いていたその木には、もう桜の花などは咲いておらず夏らしい青々とした葉が枝を覆っていた。
『もー、夏なんだなーーー…なんか時間が経つのが早い気がする…。勉強会もあっという間に終わっちゃったしな…』
『あぁ、』
今日の会話は、ほとんどそれだけ。いつもより全然会話は無かった。その後は昼休み終了の時間まで木の下で子猫と一緒に寝転んでいた。
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