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新しい先生
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ドアが開けられ沢ちゃん先生が入ってきた。
『はいはーい、こら女子ー。ちゃんと時計見ろよー?もう席座る時間だろーがー』
沢ちゃん先生がいつもの調子で声を掛け、生徒を席に座らせる。
いつもと同じ沢ちゃん先生の掛け声。
いつもと同じ教室。
いつもと同じクラスメイト。
だが、今日は1つだけ違う事がある。
『はい。みんないるなー?
えーっと昨日話した通り、今日は新しい先生を紹介しまーっす。拍手で迎えてあげてね』
その言葉を聞いた瞬間
待ってました、と言わんばかりに女子が、ざわつきだす。
そんな女子達を横目に見ながら、男子達も話し出す。
『新しい先生って男だろー?』
『女の先生なら良かったのになぁー』
『なー。沢ちゃん先生もいいけど男勝りだから、もっと女らしい女の先生とかな』
『それ!それな!!』
『はーい、静かにーーー。
じゃあ、先生。よろしくお願いします』
ドアが開けられ失礼しまーす、と男性が入って来た。
途端に女子の悲鳴と拍手と歓声。男子も仕方なくパチパチと小さく拍手をした。
『えッ、ちょッ!イケメン!!!』
『黒髪ィィィィィィィィィ』
『何!?スーツ!似合いすぎでしょ!』
『あの先生のネクタイになりたい…!』
『やばい、もう既に好き。』
………………………。
女子って怖いわーー………。
その先生は教卓の前に立ちクラス全体をぐるりと見回している。
すると俺と目が合った。何やら驚いた様な顔をしている。不思議に思っていると
『あッ、こないだの高校生!!!!』
最初、俺に話しかけているのかわからずキョロキョロしていたがそこのキョロキョロしてる君だよ!、と指名されビクッとなった。
『え、、俺……ですか?どこかで…』
思い出せ思い出せ…………。
《この間》って事は、つい最近…?
どこかで会ったっけ………………………。
『あッ!ゴールデンレトリバーの!!!!』
そうだ。思い出した。
この人はこの間の朝、ゴールデンレトリバー(たしか名前はエース)を逃がして追いかけてた人だ。
俺の《ゴールデンレトリバーの!》発言を聞いて、みんなが首を傾げた。
生徒:(ご、ゴールデンレトリバー……って…?)
『何だよ柳田!この先生知ってんのか?!』
『いつ!どこで知り合ったの?!』
『ゴールデンレトリバー……ゴールデンレトリバー…』
俺はみんなから質問攻めにされた。
沢ちゃん先生が、みんなを代表して尋ねた。
『え?葛城先生、こいつと知り合いですか…』
先生は、恥ずかしそうに頭を書きながら笑った。
『はい!そーなんですよ。
この前、私が飼い犬のゴールデンレトリバーを散歩してた時にリードが外れて逃げてしまって…。それをこの子が止めてくれたんですよー。いやー…お恥ずかしい…』
女子:(可愛いすぎかッ!!!!!!!!萌!!)
『あッ………じゃあお前が遅刻した日に言ってた《リードが外れて逃げ出したゴールデンレトリバーを捕獲してその飼い主の男の人と話してて遅れました》ってのは本当の事だったのか!!』
『………本当の事に決まってるじゃないですかーー…。……俺、嘘つきませんよ』
『すまん』
両手をパチン!と合わせ謝る沢ちゃん先生。
『あ、葛城先生。自己紹介お願いしますッ』
『あ、はい。』
『えーっと今日からこの学校で科学を担当する事になった葛城 悠一と言います。
花の《葛》に大阪城の《城》、悠々自適の《悠》に漢字の《一》で、葛城 悠一 です。
よろしくお願いします』
そう言って微笑んだ先生に女子は机に顔を突っ伏してジタバタ暴れていた。
その時。
ガッ!!と椅子から立ち上がった影宮くんが俯きながら前のドアから廊下へ飛び出していってしまった。
『えッ、ちょ、影宮!!どーしたんだよ!どこ行くんだよ!』
隣に座っていた男子も立ち上がって廊下に出て声をかけるが、影宮くんはそれを無視してどこかへ行ってしまった様だ。
『んーーー……?影宮の奴、どーしたんだ……』
沢ちゃん先生が不安そうな顔をした。
『あの子…………大丈夫ですかね…?』
『ええ………。いつもは、あんな事しないんですけど…。すみません、』
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