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恋する乙女理論
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そんなふうにじゃれ付きながら話しつつ弁当をモグモグと食べる。
幸平はチョコを食べたあとにサンドイッチを食べ始めた。女子かよ。
どうやらダイエットはマジらしい。サッカー部のエースがそんな少食で大丈夫なんだろうか。
「でも珍しいな。厳哉が小池の授業でボーッとするとか今までなかったじゃん?なんか考え事でもあんの?」
「ちょっと気になることがあったと言うかなんというか」
「なになに詳しく」
幸平が興味津々に聞いてくる。
だから電車でタツに会ったこと、嫌われてると思ってたのに俺を心配してくれたこと、話を途中で打ち切られたこと、最後に頭を撫でられてめちゃくちゃ嬉しかったこと、今もその感覚が残って頭がふわふわすることを全部話した。
幸平にはタツとの関係を話してないからタツの名前は出さなかったけど。話してないのはただ単に説明が面倒だからだ。
「つまり、厳哉はその子の事が好きなんだ?」
「うん。…うん?」
タツの事は大好きだ。でも幸平の問う"好き"は何か違う意味のほうな気がする。
幸平はたぶん相手が女の子だと思ってる。
「だって小池の授業そっちのけでその人のことばっか考えててボーッとしてたんだろ?それ完全に恋する乙女思考じゃん」
確かに間違ってない、けど。
タツへの好きは兄弟への愛情みたいなもので、そもそもタツは男なんだから好きとか、ありえない。
そう思うのに、自分の中でも違和感がある。ヨシへの愛情とタツへのそれは何か違う。
でもそんな、タツが恋愛感情で好きとかありえない。絶対ありえない。ってか有り得ちゃダメでしょ。
「ないない、有り得えねー」
元々タツに嫌われてるのに、タツをそんな目で見たら更に嫌われてしまうだろうし。
「どうかなあ」
はっきりと否定する俺に、幸平はニヤニヤ笑いながらそう言った。
ムカついたので貰ったチョコをおデコに投げてやった。
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