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(R-15)アクマでタイショウの存在。(デビおそ神カラ)
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退廃した教会内で対峙するのは一人の神父とそれに抗う悪の手先。
神父は首からさげた十字架に手をかけ、頭を下げる。
「天にまします我らの父よ……」
静かにうなだれ、十字架に軽く口付けを。そこからこぼれ落ちる、聖なる祈り。
「今、そういうのいる?」
古びた祭壇の前で行われるその行為を打ち破る声。
鋭い角、黒くのびた尻尾。毒々しい赤に染まった翼。人ならざる存在、俗に言われているアクマの姿があった。
いつの間にか空中に浮かんでいたアクマは、神父の肩に手を置いてニヤリと笑う。
「おそ松……邪魔をするな」
「邪魔ァ?お前のお祈りのが邪魔だし無駄だし長いよカラ松」
刺々しい翼をバサリと羽ばたかせて、神父の前に降り立つ。
「意味があるのはこっちでしょ?」
ステンドグラスの破片が足元でパキンと音を立てた。それを合図に、傾いた祭壇に手をついて、正反対の一人と一匹はキスを交わす。
ほとんど壊れかかったステンドグラスの窓から暖かな光が射して、その光景を照らしだしている。
次第に虹彩は増し、眩しすぎる光に闇が混じり出す。本来なら混ざる事のない色がぐるぐると滲み出し、辺りを侵食していく。
どんどん色は膨らみ、教会中に満ちる。そこにいたしがない悪をも飲み込み。
「さっすが、神父とアクマのキスは効果抜群だね~!ここいら全部に正と負の力が入り交じって暴走してるよ」
「本当はするべき事じゃないが……」
「何言ってんのォ?禁忌だからこそイイんじゃん」
そこまで喋ると、アクマはわずかに目を見開いた。
視線の先は、先程まで対峙していた悪の手先だった。
「えっ、アイツまだ生きてない?」
神父も遅れて視線を向ける。
確かに、相手はまだ原型をとどめているし鈍いながらも動いている。
「どういう事だおそ松?いつもはこれで倒せるのに」
「……今までのより強いヤツなんじゃん?じゃあもっかい」
アクマは神父の首に手を回し、更にキスを重ねた。
「どう?」
「いや祓えてない」
「ダメかぁ」
諦めたようなセリフの割には、響きはとても軽い。
それとは対照的に、神父は焦りを言葉にのせる。
「どうするんだ」
「どうしようもないんじゃない?」
「俺を助ける契約のはずだぞ」
「助けるじゃないよ、ちょっと力をかすだけだって」
「じゃあ今かしてくれ」
「はぁ……ワガママだなー」
溜め息を一つついた間に、神父は埃っぽく狭い祭壇の上に仰向けで転がされていた。
「えっ……」
「キスじゃ効かないならその先までするしかないだろ?」
アクマは神父に馬乗りになって素早く手を服の中に潜らせた。もぞもぞとまさぐっている。
「どこ触ってるんだ!?」
「ここ」
「ちょ、バカやめろ!」
「こことそこで、黙るだろ?」
「あ……っ、何してんだ!」
「ちっしぶといな」
「やめ……服を脱がすな服を!」
服を捲り、見えた肌に唇を落とす。
「いい加減観念しなよ、お前のイイとこはわかるんだからさー」
ニヤニヤと笑うアクマは、更に服をはだけさせた。
「やめ」
「やめたら困るのどっちなの。お前はあれ、倒せないくせに」
あれ、と視線をやったのはまだいる悪の手先こと低級アクマである。弱りきってほとんど身動きしていないが、まだ生きている。
「こんなとこで、やる事じゃないだろ……」
「観客がいるから恥ずかしい?大丈夫だって!あいつ動けそうにないし、お前はちゃんと加護はっとけばいいだけなんだから」
「簡単に言うな」
「いいから、喘いでたら?」
その言葉と同時に、アクマは止まっていた手をまた動かす。
「……ん、は……っ」
「そうそう、お前はそういう姿がお似合いだよ?」
くくっと小さな笑い声が漏れる。
それを聞いた神父は、ふいと横を向いた。
指先で祭壇をひっかき、無理な体勢をどうにかしようと試みるが無駄な試みに終わる。
「ん、ぁ、あっ……」
逃げられないと諦め半分、この先への期待を半分。
覚悟を決めて、祭壇上に投げ出されていた手をアクマに伸ばした。
「素直なお前はキライじゃないよ。優しくしてやるって、なぁカラ松?」
「……っ!」
神父は顔を歪ませて大きく息を吸い込む。
「キツい?一本なら平気だろ、もう」
「お……そま……はぁっ」
「息つめるなって。その方が辛いよ?」
「やぁっ、そこ……っ!」
「何?イイんだ?」
「んっ……」
神父はボロボロ涙を溢して、首を縦に何度も振る。
それを見たアクマは真顔になり、ちょっとだけ動きをとめ。やがて苦笑した。
「……お兄ちゃん、お前が一気に素直になっちゃうから怖いな……他のヤツにヤられんなよ?」
脚を高くあげて、肩にのせる。
「もういい?」
「いいから……早くっ……」
「ハイハイ」
神父にねだられたアクマは、舌なめずりすると一気に腰を打ち付けた。
「ああぁっ!!」
「くっ、きっつ……でもすげーイイ……」
「あ!ぁあっ、もっと……!」
重なる一つの身体はお互いを貪り合う。
一際高い声を最後に、静かに抱き締め合った。
「……、……カラ松。カラ松……あれ、オちてる?」
ゆっくり身を起こしたアクマは、しなだれかかった神父をつつく。反応はない。
更にゆっくり横を向けば、先程までいた低級アクマは跡形もなく消え去っていた。消滅したのだろう。
「……流石ってとこか」
この世界ではアクマは人間に害なすものであり、存在が忌み嫌われている。
だから神父がアクマ祓いに一役買っている。それだけを生業にしている神父も多い。
アクマと神父なんて対極の存在だ。抱き合えば善悪の力が暴走して周りの生体に悪影響を及ぼすぐらいには。
世界中探しても交わるアクマと神父なんていないだろう。ここにいる一人と一匹をのぞけば。
誰も喋らない無音の教会で、アクマは神父を抱き締め続ける。ぽたりと、祭壇に落ちた水滴だけが音を立てた。
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