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Peach
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桜がひらひら舞い散るのをそっと眺める。
木の下で読書をするのは最高の一時。
ふと目を閉じる。
「いつまでいるんだ。」
「あ?バレてた?」
僕は桃井正宗(モモイ マサムネ)。高校二年の、生徒会副会長。
あまり人と話すのは趣味ではなく、寧ろ一人の方が楽。
こいつは熊本友近(クマモト トモチカ)。高校二年、生徒会長。
いわゆるモテモテ系男子、成績優秀。フレンドリーな人間。
「一人にさせてくれないか、僕は君が嫌いなんだ。」
「そーんなこと言っちゃってー、寂しいよー。」
嫌い、嫌い、好き、嫌い、好きすぎて、嫌い。
僕の初恋を奪われたのは
こいつなんだ。
「じゃあ僕が去る。」
立ち上がって、熊本に背中を向ける。
「あー、待って待って。何でそんないつも冷たいの?」
「嫌いだから。」
「・・・桃井にとって、俺ってどんな存在なの?」
悲しげに言う熊本。
「そんなこと聞いてどうするんだ?回答は変わらない。嫌いな存在だ。」
「・・・。」
黙ったと思ったので、僕は彼の前から立ち去った。
ーーーーー
「―がχになり、―が・・・。」
ぼーっと授業を聞く。
適当にペンを走らせ、出された質問を完璧に答える。
「あ・・・。」
向かいの校舎を見る。
(科学の授業・・・やってるんだ。)
熊本の授業は科学の実験なのか、理科室にいた。
白衣姿がどうも似合う。
(これだからイケメンは・・・。)
キュンと胸が鳴る。
熊本の近くに女生徒が数人近寄る。
ピクッと眉が動く。
(近づくな・・・。)
キャーキャーとこっちにも聞こえるくらいうるさい。
あんな生き物、熊本が好くわけ無い!なんて思いながらも、実際男女が付き合っている例はいっぱいある。
(きっと熊本も・・・。)
僕の恋はもう救いようもない。
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