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6日目 4
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天は、『咲離れ』する決意をした。
「絶交は解いたから、校門に行って自分の目で見て来い」
その最後に、意地悪をした。
(…我ながら子供くさいけど)
もちろん、愁は元気だ。
でも、早く会わせてやろうと、芝居を打った。
「で、でも昨日…颯人先輩は大丈夫だって」
咲は颯人を見た。
「…すまない」
颯人も芝居を打った。
咲は青ざめていた。
「天ちゃん…」
「会長が『好き』なんだろ?…わかってた。だから咲、迎えに行ってこいよ」
咲は頷いて、部屋を出た。
咲は校門まで急いだ。
(自分の目で見ろって、言っていたけど…)
不安で仕方なかった。
(刺された所が悪かったとか、出血が止まらないとか?)
最悪な事しか、考えつかない。
足が、もつれる。
「っ!」
転びはしなかったが、その場で踏みとどまった。
(何日前だったっけ…)
愁に転びそうだった所を、入学式の前に助けられた。
その後、生徒会室で書類の山が肘に当たり、散らばってしまったときにも助けられた。
昨日はナイフから、身を呈して庇ってくれた。
そして、『好き』だと言ってくれた。
出会ってから、関係は日々近づいていって、あっという間に時間は過ぎている様に思えたのに。
今は、廊下を走っても走っても愁のいる場所が長く、遠く感じた。
(…泣いたら駄目だ!)
咲は涙を堪えながら、全力で走って行った。
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