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Act. 11 ライム
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「家に帰る」と、言ったところをわざと無視された気がして仕方ありません。
「あの……」
「さて、出かけようか」
俺の言葉に被せるようにして絶対発言しましたね。意図的ですね。わかっています。
「香月さんっ!僕っ、自分のアパートに帰ります!」
言えました!言えましたよ、僕偉いです。
そう思った途端に、香月さんが泣きそうな顔になりました。え、どうしてでしょう。僕は何か悪いことをしたのでしょうか。
「香月さん、どうしたのですか?」
「将生、ここへは帰ってこないつもりでしょ?」
あ、この人は馬鹿ではないですものね。これまでの言動は、計算だったのでしょうか?違うかな……。
「僕、多分……香月さんの事好きですよ。でも、あまりにも知らない世界で、初めての事ばかりで戸惑っています。一緒に住むと言われてもピンと来なくて」
「そうかあ、だよね。だよな……それじゃあ、とりあえず二週間だね」
にっこりと、誰でも落とせそうな笑顔で微笑まれた。た、立ち直り早すぎます!
「え、じゃあとりあえず一週間って事で……」
「OK、じゃあ、今日はとりあえずデートしようね」
あら?あれ?僕が強く出たと思ったのは勘違いですか、もしかして上手く丸め込まれただけでしょうか。
違いますよね、うん。きちんと自分の意思は伝えました。
ところで、僕のアパートに帰るって話は消えたんでしょうか。
「将生の着替えとか少し買って来よう。せっかく可愛い顔してるのにいつも暗い色の服ばっか着てんだもん。」
確かにこんなオレンジ色のシャツなんて撮影なきゃ着なかったでしょう。綺麗な色って綺麗な人が着る物だと思っていましたからね。
「はい、これ」と手渡されたのはこれもまた撮影で使ったライムグリーンのパンツ。
すみません……僕は今カラーパレットみたいになっていませんか?
「可愛い」
そう言われてつい着ちゃいました。
……あれ?
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