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冷たいコンクリートの床
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しばらくすると、茶髪の人は
扉も閉めずにその場を去って行った。
きっとお金を返してほしいって
言いに行ったんだろうな。
コンクリートの冷たさが身体の
体温をどんどん奪っていく。
体力がないからなのか、もう指一本
動かせられない。
でも、夜になったら一段と冷える。
この状況に慣れなきゃ…
耐えろ…
開いたままの扉の先から足音が
聞こえてきた。もう無理だよ…動けない。
気づけばその足音の主、
焦げ茶色の髪の人が俺の前に
しゃがみ込んでいた。
「や…ぁ……やめっ…」
自然と零れた俺の声は酷く涙声だった。
するとこの人にふわふわしたものを
体に掛けられる。
何…?これ…
視点がぼやけてしまって
よく見えないけれど、
すごく、あったかい…
「早く気づいて
あげられなくてごめんな…」
そう言った男の人は
すごく悲しそうな顔をした。
なんでこの人が謝るの?こんなことに
なるのは、俺のせいなのに。
思わずなんで…?と言おうとしたが、
それと同時に息が詰まって
咳き込んでしまう。すると男の人は
そっと背中を擦ってくれた。
─違う。今まで会った人と。
安心したからか、限界がきたからか、
俺は眠りに落ちてしまった。
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