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いちご味のパン 【翠 Side】
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お風呂…あったかかったな。
えいとさんのお風呂は、俺が知っている
施設のお風呂とは全然ちがくってすごく
ほかほかしてて、こんなの初めてだった。
ただ、1つワガママを言ってしまったことが
気がかりで、えいとさんに迷惑をかけてしまった
ことをとても後悔していた。俺はお風呂にまた
入りたいとつい口走ってしまったんだ。
…ちゃんと謝ってやっぱりいいですって言わなきゃ。
今はリビングのソファで朝ごはんを
作ってくれているえいとさんを待っている。
えいとさんが俺に何かをしてくれる度に
それに対してなんにも出来ない自分が
嫌になってとても辛くなる。
─やっぱり、他の人とは違うからなのかな…
そんなことを考えていると、俺の前に
パンの乗ったお皿とミルクが置かれた。
「随分しょんぼりしてるな」
えいとさんが俺の顔を覗き込み呟く。
えいとさんは、心の中が分かる魔法でも
持っているのかな。
「あのっ…」
言うなら今だと思い、声を出す。
するとえいとさんは首を傾げた。
「お風呂の約束、ワガママ…ごめんなさい…
やっぱり、大丈夫です…」
言えた。最後まで。
いつも俺はごめんなさいだけで口をつぐんで
いたから、えいとさんにはちゃんとした言葉で
謝りたかったんだ。自分の中で、小さな達成感。
「翠な、そんなの我儘じゃないよ
むしろ翠にはもっと自分のことを話してほしいな」
えいとさんは許してくれるどころか、
もっと俺のことを言って欲しいと言ってくれた。
反応に困っていると、えいとさんがパンに
赤くてきらきらしたモノを塗っていく。
「…これ、なに?」
思わず聞いてしまう。
「ジャムだよ。苺味」
「じゃむ…?」
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