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「雅人が正月も暇で助かったわ~」
「何それ、ヒニク?」
歩美ちゃんを抱えた姉を横目に睨むと、姉は首をすくねた。
「半分ね。パパが年末年始出勤になっちゃって困ってたのは本当だし。すごく助かったのよ。さすがにこの人混みの中、私一人でヤンチャな子供二人を連れて来れないわよ」
「まぁ、確かに。それは俺も無理だな」
姉の辟易した様子に苦笑いして答えると、姉も力なく笑った。
「……でもさ、あんた。もうそろそろ相手見つけなさいよ。前の彼女と別れてもう何年たつのよ。もしかして、まだサキちゃんに未練あるの?」
「……ないよ。余計なお世話だ」
またこの話か。
毎年聞き流しているはずなのに、今はすごく耳がイタイ。
「ぼんやりしてたら、すぐにジイサンになっちゃうわよ。父さんも母さんも何も言わないけど、内心、心配してんのよ。その辺は察しなさい」
「……分かってるよ。うるせーな。小言ばっか言ってると、もう何も手伝わねーぞ」
何も知らない姉の言葉が今はすごく堪える。
言い捨てて歩調を速めると、姉達の先を行く。
「またそうやってはぐらかそうとすんだから。雅人、ちょっとは真面目に……って、何か、あったの?」
追い付いてきた姉が俺の顔を覗き込んだ瞬間、驚いたように声のトーンを下げた。
「別に、何もないよ」
「何もないって顔じゃないわよ?」
空いている方の手で、俺の服の裾を掴んで引き留めるので、足を止めた。
「……傷付いた」
「えっ?」
深いため息をついて目を瞑ると、姉が手を離した。
「年末にフラれてバックリ開いた傷口に、塩塗り込まれてスゲー痛い」
「ええっ!?ウソッ!!ご、ごめん!私、無神経なことっ」
姉が慌てた様子で俺の前に出てきて、子供を抱えたままオロオロし始める。
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