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どれくらい抱き締めていたかわからない。
胸を弱くトントンと叩かれ、そっと腕を緩めるとよつばが顔を出した。
その目には光が戻っていて、しっかりと焦点が合う。
不思議な色の目に俺が映る。
その事になんだか酷く安心してよつばの小さな頭を撫でた。
嬉しそうに下手くそな笑顔を浮かべたよつばはホワイトボードにまた何かを書き始めた。
『あなたのお名前は?』
「櫻、安倍櫻。」
よつばの形のいいピンクの唇がむにむに動く。
そして口パクでさくらと言った。
その後にニヤニヤとし始めて何故かぽっと頬を染める。
どこに照れる要素があったんだ?
赤くなった頬を両手で挟みくねくね動き出したよつばは何をしたいのかよくわからないが、すごく可愛い。
「可愛いな、お前。」
なんとなくそう呟けば勢いよく顔がばっと上がり不思議そうに首をかしげる。
手に持っていたマジックのキャップを外しホワイトボードにのろのろ文字を書いていく。
『ぼくかわいい?』
「あぁ、可愛いよ。」
そう答えてやるとうふふと笑い声が聞こえてきそうなくらい、嬉しそうに笑った。
頬が何故か引きつっててお世辞でも上手とは言えない笑顔だけど。
その下手くそな笑顔が誰の笑顔よりも綺麗だと思った。
俺はたぶんおかしくなったんだ。
可哀想な訳ありの子供を拾って、小さい頃の弟達を見ているようで、愛着が湧いてしまったんだ。
きっと、それだけだ。
俺はまだニヤニヤしながら頬を抑えてるよつばを抱き上げて膝に乗せて
「お前、帰るとこねぇならここに住め。」
優しく頭を撫でながらまた腕の中に小さいよつばを閉じ込めた。
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