アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9 よつばside
-
「ここに住め」
優しすぎてロボット見たいな櫻さんの言葉。
僕は嬉しくて嬉しくて堪らなくなった。
僕、住んでいいの?
櫻さんと、一緒にいてもいいの?
うんって頷きそうになって思い出しちゃったんだ。
わがままを言って酷いめにあった事を。
僕の弟は寝るときいつもくまのぬいぐるみを抱っこしてた。
僕は弟と違ってリビングの床で寝てたから柔らかい何かを抱いて寝たいなって思ってた。
だから偶然お買い物に付いていけた時勇気を出して頼んでみた。
四つ葉のクローバーにてんとう虫の付いた小さめのクッションを買ってって。
お店の中ではまた今度ねって優しく咎められた。それで僕は安心しちゃったんだ。
お母さんは怒ってないって。
その後は散々だった。
弟に先に車に乗っててって言ったお母さんに人目のつかないスーパーの裏まで連れて行かれてから何回も蹴られて殴られて。
『どの面下げて頼み事なんてしてんのよ』
『生きてるだけで金かかるあんたにかける金なんてこれ以上ないわよ』
『ほんっと、あの男に似て図々しいわね』
何度も何度も僕を殴りながら蹴りながら。
忌々しそうに呟いて。
そのままお母さんは僕を置いて帰っちゃったんだ。
僕はわがままを言っちゃいけない。
頼み事をしちゃいけない。
何かを望んでいい人間じゃないんだ。
僕は生きている価値のない存在だから。
でも僕は
櫻さんと一緒にいたい。
今まで知らなかったぬくもりを、知ってしまったから。
あの温かい腕の中から離れる事なんてできない。
僕と一緒にいるのは嫌かもしれないけど。
櫻さんはお母さんみたいに酷い事をしないような気がして。
ホワイトボードに甘えの言葉を紡いだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 51