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悲しみ〜龍樹side〜
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side:龍樹
9月1日の朝。
廊下で篠宮を見かけた俺は、後ろから名前を呼んだ。
篠宮は、一瞬立ち止まった後、俺の方を振り返りもせずに足早に去っていった。
──今の反応は、絶対に俺の声に気づいている。
気づいていて、俺を避けている……?
やっぱり、篠宮の一途な想いを裏切った俺のことを、無意識に嫌っているのか──?
胸の奥が、またちくりと痛んだ。
──俺には、悲しむ資格なんて無い。
あの時、俺に裏切られた篠宮の悲しみは、俺の比じゃなかったはずなんだから。
必死にそう自分に言い聞かせても、胸を突き刺すような鋭い痛みが消えることはなかった。
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