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少年
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目の前で意識を飛ばした少年の血を唇に含み、俺は驚いた。
かつてないほどの苦味が口に広がる。
人間の血は、愛されて甘くなる。
しかし、その逆もあるという事で
この少年の血の苦味は、愛されてこなかった証拠である。
内部からフツフツと込み上がる怒りに俺は支配された。
これは、人間が俺達ヴァンパイアに対する侮辱だ。
ちっぽけな人間風情が俺たちヴァンパイアに牙を向けようというのだ。
腕の中で眠る少年を丁寧に抱き抱えて俺は、この少年の家族のもとに向かった。
「まぁ!あなたは⁈」
「ヴァンパイア様ですね!どうなさったのですか?やはり、その男の血では御満足していただけなかったのね⁈」
目の前で騒ぎ立てる女達を睨む。
「彼を何故愛さなかったのだ」
「へ?」
「何故、家族という存在がありながら彼は愛さなかったのだ」
「それは…その子が」
少年程ではないが美しい娘が顔を歪めた。
その顔が全てを物語る。
“私よりも美しい彼がどうして愛されるの”
涙で濡れる娘とその母親の喉を掻っ切った。
血が飛び散る。
皮肉な事に娘の血は魅惑的な甘い香りを醸し出していた。
しかし、俺は美しくないものが嫌いなのだ。
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