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旅の12 (R18)
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ピンクのふわふわのウサギセット、白のもこもこの羊セット、薄い茶色の犬セット……。旦那様の「お土産」が、目の前に並べられていく。黒の猫セットと同じシリーズだって、説明されなくても分かった。
「ね……っ」
猫は却下だって言ったのに。猫じゃなきゃいいだろなんて、そんなの屁理屈だと思う。
「どれにする? 犬はほら、お前の髪の色と同じだ」
楽しそうに言いながら、犬耳の髪飾りを頭につけてくれたけど、「似合うぞ」って言われても喜べない。
何より凶悪なのは、犬の尻尾の根元に付けられた部分だ。猫のは木球だったけど、今度は木で作られた長い骨。太さはそうでもないけど長さはそこそこあって、ギョッとした。
「いっ、犬はイヤです」
犬耳を頭からむしりとり、キッパリと自己主張する。オレだって、イヤな時はイヤって言えるんだ。
「そうか、ならまた今度だな」
旦那様は残念そうに、犬セットを紙袋に戻してくれたけど、ちっとも諦めたように見えない。
じゃあウサギはっていうと、尻尾の根元がでっかいニンジンになってて、これにも絶句するしかなかった。
「ニンジン、好きだろう?」
楽しそうに、ふふっと笑う旦那様。確かにニンジンは好きだけど、そうじゃない。
一番まともなのは羊で、これの尻尾の根元は猫のと同じ木球なんだけど、それをまともに感じてる時点でダメなんじゃないかと思った。
顔に血が上り過ぎて、くらくらする。
恥ずかしい動物セットを見てられない。
「きょっ……きょっ、今日は、旦那様のだけがいい! ですっ!」
どもりまくりながら、思い切ってぎゅっと抱き付くと、旦那様がくくっと笑いながら抱き返してくれた。
「『今日は』?」
ぼそりと耳元で訊かれて、慌てて小さく首を振る。
「明日も明後日も、ずっと……っ」
言いかけたセリフが、キスの中に消える。重なった彼の唇が笑みの形にほころんでて、半分からかわれてたって分かった。
笑うなんてヒドイと思ったけど、肉厚の舌に侵入され、翻弄されて、何も言えないまま寝かされる。
「そうだな、素のままのお前が1番だ」
嬉しい言葉の後、しゅっと解かれるガウンの帯。
温かくてゴツゴツした大きな手のひらが、裸の肌に這わされる。この温もりも、快感の予感も10日ぶりだ。乳首をきゅうっとつままれて、不意打ちに「ふあっ」と声が出た。
いつもの部屋のいつものベッドで、いつものように大きな影がオレの上にふりかかる。
「レイ……」
少し上擦った声に名前を呼ばれて、ぞくぞくした。
脚をされるがままに開き、太く長い指を体の中に迎え入れる。潤滑液をまとった指は、木製の骨やニンジンより細いけど、こっちの方が何倍も好きだ。
的確に胎内を愛撫して、繋がるための入り口を拓く。2本、3本と指が増やされるたび、快感が増していく。
「ん……あ……」
力を抜いて身を任せてると、ふいにイイトコをくうっと押された。
「あ……ふああっ」
悲鳴を上げながら射精して、かくかくと腰が震える。10日ぶりだったから勢いも良くて、脱力感が後を引く。
「たくさん出たな、我慢してたのか?」
旦那様が囁きながら、オレの顔を覗き込んだ。照れる間もなく指が一気に引き抜かれ、衝撃に声が漏れる。
「ああっ! 旦那、様……っ」
ねだるように呼ぶと、ちゅっと口元にキスされた。
「オレも我慢の限界だ」
そんな言葉と共に、少し乱暴に脚が押し開かれて、太ももをぐっと抱えられる。引き寄せられた直後、拓かれた穴に固く熱いモノが押し当てられて――強引に一気に貫かれた。
「ああーっ!」
悲鳴を上げて、身を反らす。
たった10日貰えない間に、体腔が狭くなっちゃったみたい。とんでもない質量に侵され、息が詰まった。
きゅうきゅうと締め付けてるのが、自分でも分かる。
「は、キツ……」
旦那様がうめくのを聞くけど、自分ではどうしようもない。ねだって縋ってるみたい。
「そんなに欲しかったか?」
なんて、訊かないで欲しい。
がくんと揺らされ、がつがつと突かれて、はしたなく叫びながら赤くなる顔を手で覆う。
2回目の射精はすぐだった。
旦那様もいつもより早くて、体の奥が濡らされる。けど、動きが止まったのは一瞬で、そのまま強く早く揺さぶり続けられて、じきに何も分かんなくなった。
「あっ、ああっ、ん、ああーっ」
甘えた喘ぎ声が止まらない。
レイ、って何度か呼ばれたけど、それに答える余裕もない。快感に溺れながら、必死でたくましい背中に縋る。
喘いでも、もがいても、身をよじっても、爪を立てても、快感は逸らせなくて、脳が白く焼けるようだった。
「はっ、あっ、あっ、激、しいっ!」
抗議にもならない悲鳴、それにも構わず、早いペースで追い立てられて、全身がガクガクと震える。
首を振っても許して貰えない。
もしかして、犬とかウサギとか、付けてた方が手加減して貰えたのかな?
遊ぶ気のなくなった旦那様に全力で攻められて、快感と意識がふうっと薄く遠くなる。
ぐちゅぐちゅとはしたない水音が繋がってるところから響いて、じわじわと何かが滲むのが分かった。
「まだ終わりじゃないぞ」
色っぽく低く掠れた声で、旦那様が言った。
息を弾ませて、汗をにじませて、それでもまだまだ余裕そうな彼を、うっとりと見上げる。キリッと整った顔で精悍に微笑まれ、見下ろされて胸がずきゅんとうずいた。
――ああ、好きだ。
何でも赦せる気になって、猫も犬もウサギも羊も受け入れようってぼんやりと思った。
この人のためなら何でもできる。
喜んで欲しい。笑って欲しい。オレだけを見つめて、愛して欲しい。
「アルト様……」
そっと名前を呼び、遠くなる意識を手放す。
自分でも今、微笑んでるのがなんとなく分かった。
(終)
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