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お昼の時間を迎えた。いつも3人いるのだが、
羽山くんは生徒会の仕事へ。
屋久土さんも羽山くんと同じく生徒会の仕事へ行ってしまった。役職がないみたいだから生徒会の役員らしい。
しーちゃんは、中間考査で全教科赤点取っちゃったから先生から呼び出しをくらって
今日は1人だった。
朝の話を聞いてから少し周りを警戒しながら歩くようにしていたが、誰が崎谷かなんて分かりっこなかった。
こういう時しーちゃんがいてくれれば...
考えながら歩いていると誰かとぶつかった。
勢いはそんななかったものの相手が持っていたものが手から滑り落ちてしまった。
「ご、ごめんな...さい!」
僕は急いで荷物を拾って、すぐ相手に返した。
その時初めて相手の顔を見た。
綺麗に整った顔立ちで、綺麗な赤髪をしていた。
右側の髪を耳にかけている方からは、オシャレなピアスが見えた。
僕みたいな奴とぶつかってしまったことに悪く思ってたりして...と思い
「あの...本当、に、ごめんな...さい!」
再び謝った。
すると
「そんな大丈夫ですよ!俺がぶつかっちゃったのに、あなたに全て拾わせちゃって...こちらこそごめんなさい」
優しい声でそう言いながら頭を下げてきた。
「頭...あげて、くだ、さい...僕が、ぶつかったのが」
「いえ、俺があなたに」
「違っ...僕がぼけーっと、してた...から」
お互いに言っていたら突然笑い始めて、それにつられて僕も笑ってしまった。
「んじゃ、おあいこってことでいいですか?」
「そ、うしま...しょ、うか?」
「ねっ」
相手の人はそう言って微笑んだ。
「またこうやって話しませんか?」
「い、いいですよっ!」
「分かりました。あのお名前だけ伺っても?」
「はい、あ...有沢って、言います」
「有沢、さん...あっ、聞いといて自分の名前名乗らないって変ですよね!すいません。俺は」
相手が名前を名乗ろうとした時だった。
「おーい、サキー!」
相手の名前を呼ぶ友達がいた。
「ちょっと待ってろ!本当すいません...この後急がなくちゃいけなくて、俺、サキって言います!」
「サキさん...あの時間、取らせちゃって...ごめんな、さい」
「大丈夫ですよ!こちらこそすいません!それじゃ、失礼します!」
僕に会釈をするとサキさんの名前を呼んだ彼の元へ走っていき、食堂を後にした。
サキさん...か。新しい友達まではいかないかもしれないけど仲良くなれてよかったと思った。
(何年生なんだろ...今度聞こうかな?)
この時
本当に誰かと一緒にいれば...
と後悔するとは思ってもみなかった。
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