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「悪りぃ、大丈夫か有沢」
「屋久...土さん」
肩だけだったらまだしも、正面でぶつかった所為で
僕よりも背の高い屋久土さんにいい感じで、抱きとめられた。
サキさんに抱きしめられた時、何ともなかったのに
屋久土さんに腕とか身体全身抱きしめられた途端に
心臓がドキドキ言い始めて、顔全体が熱くなった。
ガラっ
振り返るとサキさんが出てきて屋久土さんの腕に力が入った。
「屋久土先輩、追いついちゃったんですか?」
「追いついたっつうか...有沢が出てきたとこに出くわしたから」
「もう一歩遅かったらよかったのに...」
サキさんの言った言葉に一瞬冷たさを感じた。
「あ"?何言ってんだ、お前?」
「だからもう一歩有沢さんがここから出るのが遅かったらキス出来てたのになぁって」
その言葉に反応した屋久土さんは
「てめぇ、ふざけんなっ!」
声を張り上げた。
「お前はどこまで有沢を傷つければ済むんだっつーの!?いいか?もうこいつに金輪際近づくな!近づてみろ...?全身の骨折れるぐらいボッコボコにしてやる」
冷たい声でサキさんに言うと僕の手を掴み、
「戻んぞ」
小さく言い歩き出した。
「あの、屋久土さん?」
「......」
声をかけても無反応で、やっぱり怒ってるのだろうか?
そりゃあそうだ。迷惑かけたんだから...
気付けば保健室に戻っていて、手を離された。
「ごめんなさいっ!」
すぐさま僕は屋久土さんに謝った。
「迷惑かけちゃって...本当に」
「ごめん」
怒ってるだろうと思ったのにそんな様子が一切なくて、表情を伺うと何処か不安げになっていた。
「あん時以上に傷つけたくなかったのに、また嫌な思いさせたよな...本当に悪かった」
屋久土さんに頭を下げられた。
屋久土さんに頭を下げられると、どうしようもなくなる...
「屋久土さん、頭、あげて?元々は僕が逃げたから...」
「いや、それはお前に無理強いさせた所為で」
「でも僕が正直に言ってればこんなことになってなかったはずだから...」
お互いに黙り込んでしまった。
次は言わなきゃと口を開いた。
「屋久土さんは...」
「ん?」
ゆっくりと顔を上げたタイミングで
「屋久土さんは、僕に...優しすぎる......」
言った。
「だから」
「何言ってんだよ」
屋久土さんはそう言って僕の頭を撫でて
「お前の方が優しすぎだから」
微笑んだ。
一気に胸が締め付けられてキュンキュンしてしまった。
やっぱり何をしてもカッコよくて
何をしても優しくて...
そんな屋久土さんの全てが
本当に好きなんだ。
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