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「どうしたんですか、有沢さん?」
俺は思わず有沢さんに駆け寄っていった。
「......サキ、さ...ん」
すると益々有沢さんが泣き出してしまった。
俺はその時ふと思った。
さっき悪いように言おうとしていた人間の前で何故有沢さんはこんなに泣いているのか...と
でもその疑問はすぐわかった。
「あの、先輩...もしかして兄に何か言われましたか?」
「へっ?」
李斗が問いかけると有沢さんは少し顔を下げた。
「だって今名前を聞いた途端に顔を曇らせたから」
有沢さんにそう言って頭を下げていた。
「そうだとしたら、ごめんなさい...」
「李斗くん...それは、違うよ?頭を上げて?」
李斗のお兄さんに何か言われた...?
もしかしてそれって俺のせい?
「はーーーーいっ!変な空気のお2人さん、そこまで」
そう言いながら2人の気まずい空気に入り込んだ時、上の屋上のドアが開いた。俺は咄嗟に有沢さんと李斗の腕を引っ張り階段の陰に隠れた。
「サ、キさ「しーっ...」」
小声で有沢さんにそう言いながら上を指差した。
「屋久土、有沢を手放していいのかよ...」
「良い訳ねぇだろうが」
「だったら有沢に謝れ」
先輩たちが話し合っていた。その内容は有沢さんの事で
「お前、謝る前に弟の方ぶん殴りてとか思わねぇのかよ?」
屋久土さんは李斗のお兄さんに話を振った。
「思うけど...1番に傷つけた有沢に謝るべきなんじゃ」
「謝るに決まってんだろ!?けど、それは後だ。まず有沢に絡んだ崎谷をぶっ潰してからだ」
そんな話をしながら階段を下り、声が消えていった。
いなくなったのを確認すると3人とも息が抜けた。
「はぁ...取り敢えず良かったね、有沢さん。屋久土先輩にも羽山先輩にも嫌われてなくて」
俺のせいで仲が悪くなったというのもあり俺なりに励ましたつもりだった。
軽く笑ってくれればそれでよかったのに...
俺は有沢さんを泣かせてしまった。
「有沢さん...そんな泣かないで」
こういう時屋久土先輩はどうしたんだろう?
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