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毎日が規則規則でうんざりだ
歩き方から食事まで細かく怒られる
房では体さえ提供していればそれ以上は何もされなかった
でも、お風呂は毎日入れないから匂いが嫌だった
親がいる奴らは本とかノートとか色々差し入れしてもらっていた
手紙を書いている奴もいた
俺は書く相手もいないし、ただ毎日時間が過ぎる事だけを待つ生活だった
そしてあいつがやって来たんだ
「入れ」
「・・・・・・・・・・・・・」
そいつは綺麗な黒髪で冷たい表情をしていた
「おい、お前何をやらかしたんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「おい!答えろ」
そいつは表情一つ変えずに言った
「殺人未遂・・・殺しておけばよかった」
殺人・・・
そんな事をするような奴には見えない
「怖いな~、殺人犯も雑居房かよ」
「ここは混んでるみたいだし仕方ないらしいですよ」
「へぇ~」
みんな話題が無いから新人の事をいろいろ聞きたがる
それで暇つぶしをしたいだけ
「君、天使みたいだね」
突然話しかけられた
そんな人には思えなかったから驚いた
「天使?翔が?そんなわけないだろ?顔だけだよな、こいつのいいところはさ」
「どうして?」
「毎晩おもちゃにされてるんだよ、今夜はお前かもな」
「へぇ・・・そうなんだ」
「覚悟しておけよ」
そんな会話を無視して更に話を続けた
「翔、俺は楓よろしくね」
「うん」
楓は房の隅に座りぼんやり窓を見つめていた
俺も何となく隣に座り窓を見つめた
「蜘蛛の糸って綺麗だよね」
「えっ?」
確かに窓の外に蜘蛛の巣が張られていた
規則正しい8角形
その真ん中で獲物を待つ蜘蛛
「蜘蛛の巣ってね・・・」
「うん」
「獲物を捕まえる為でしょ?」
「そうだね」
「獲物が蜘蛛の巣に引っかかって動けなくなるのに蜘蛛は動けるのって不思議だと思わない?」
「・・・・・・・・・・・・確かに」
「蜘蛛は動ける範囲を認識しているからなんだって」
「へぇ」
「だから絶対自分の巣には引っかからない」
「うん」
「それと白い糸があるでしょ?」
「うん」
「それはマークみたいなものらしい」
「そうなんだ」
「翔は自分の巣に引っかかってしまったみたいだね」
「・・・・・・・・・・・・」
「見るべきところを誤ってしまった」
全て見透かされているようで返事が出来なかった
確かに俺はもがき続けている
今も、昔も・・・これから先も
「その瞳には何も見えないのかな?」
「見えないかもね・・・もうどうでもいい」
「それは翔が一人だからじゃない?」
「えっ?」
「友達じゃ駄目・・・もっと大切な人が見つかれば見えるようになるかもね」
「そんな人なんていないし」
「今はそうかも知れないね」
「うん」
そして食事の時間になり食べたくも無い夕食を食べた
その後は自由時間だけどやる事も無いからぼんやり蜘蛛の巣を見つめてた
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