アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
四十七
-
スライドできる面会は後日に回し、今日片付けなければ支障をきたすというものだけをピックアップさせて猛烈な勢いで仕事をこなした。
いつも以上に気が立って荒々しい私の姿に、周囲の者は頭を垂れいっさい視線を合わせなかった。
どうしてもキャンセルできない幾人かの面会も、私のすさまじい圧力にオベンチャラを言うことも忘れ用件だけを伝えて帰っていった。ダラダラとした時間を短縮できる方法がこれだったのかと収穫になり、気が急くのも悪くないと思う。
午前10時を少し回った頃に斉宮から連絡があったのだ。
『本当にいつも「開いている」回線なわけですね。まわりくどい方法をとらなくても貴方が捕まるのはいいことです。桜沢が目を覚ましましたよ。術後の経過も問題なし、感染症もなし、熱もとっくに下がりました。
もう一度撃たれないかぎり、容態が崩れることはないと思います。』
それは私が待ちに待った知らせであり、当然ヨシキも同じ朗報を受け取っているはずだ。
もうその瞬間から貪りつくし抱きつぶすことしか考えられないくらいに自分の中にある雄の本能が身体を駆け巡りはじめたのだ。
漲る精の波動は周囲の人間を困惑させ、怖れとともに沈黙が返ってくる。いつも以上に私に何かを言う者はおらず遠巻きに見ているだけだ。禍から遠ざかることこそが身を守るのだと、彼らは皆それを態度で示していた。
用意された仕事をこなし終えたのが18:00すぎ。この3日間のなかでは最も早い上りになった。
翌日の午前中は休むから調整をするように告げると、何か言いたげだった何人かも改めて私の顔をみて黙り込んだ。
誰が何を言おうと私の勝手だ。
車に乗り込み、屋敷に帰りつくと閃が出迎え小声で言った。
「ヨシキ様は月光様のお部屋でお待ちです。」
「わかった。食事も何もかも後回しとする。」
「承知いたしました。」
まっすぐに自室に向かいドアを開けたが、そこにヨシキの姿は見えない。上着を適当にソファに放り投げ、ネクタイをほどきながら寝室にむかったが、そこにもいる気配がない。
音がするのは浴室・・・。
着ている物を全て脱ぎ散らかし浴室に向かうと、曇りガラスの向こうにぼんやりとした人影がみえる。
ああ・・・ようやくだ。
ようやくお前を確かめることができる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 75