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六十一
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大龍の屋敷内に当の本人の姿がなかった。逃げた可能性もあるが時間的にその余裕はなかったはずだ。9:00すぎに緑の館で狙撃が起こった、その後大龍の屋敷に狼達が着いたのは9:15。
車はすべて車庫に留まっているし、屋敷内の人間はすべて取り押さえた。
こうなったら面談でもしてやるか、直接聞くのが一番いい。
側近が一人、ガードが3人。あとは女達でメイドと厨房のスタッフで4人。随分しょぼいものだ、大部分を失わせたのは私である。そのせいで、金にすり寄ることになったのだとしたら腹立たしい限りだ。
ヨシキが撃たれたのは私の行いの結果ということになるではないか。爆発しそうになった私は目の前のテーブルを蹴り上げた。
4人の女達は震えあがり、しゃくりあげる。
わざとらしく革の手袋をはずすと、血にまみれた私の手が露わになった。これはヨシキの血。問題が片付くまで手を洗うつもりはない。
渇いた血に覆われた私の手を見て今度は悲鳴があがる。
「嘘をついてみろ、どういうことになるかわかるな。」
コクコクと首が縦に振られる。
「大龍は何処だ?」
「しりません!本当です!食事の後片付けをしていたら、いきなり男たちが!」
「本当です!知らないのです!お許しください!」
泣きわめく女達にウンザリする。さっきは一人だったが今度は4人、それぞれが知らないと繰り返し嗚咽をもらす。
「白牙。」
「はい。」
「突入時の状況報告と同じか?」
「そのようです。この女たちは4人とも台所にいたとのこと。大龍がどこかに出たとしてもわからなかったと思われます。」
「お前たちは大龍の屋敷で働いているわけだから、この世界に刃向う意味を知っているな。」
必死の形相で頷き続ける女達は心底怯えきっていた。
「知らないという言葉を信じよう。だがもし、嘘だと分かった場合は容赦しない。一族すべて始末するからそのつもりで。言いたいことは?」
「ありません!」
女達は逃げるように部屋を出ていった。
「しばらく尾行をつけろ、見張られているとわかれば口をつぐむはずだ。」
「わかりました。」
次は男達。
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