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七十一 ♥
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「どうしよ・・・。」
「・・・くっ。」
余裕がないのは俺だけではなかった。まだ動いてもいないのに、俺の中でコウがビクビクとしなる。抵抗できずにもがいているようなその動きに笑みが浮かんだ。
「余裕があるな・・・私は・・・ない。」
「俺の中にコウがいる・・・なんだか可愛い、切羽詰っているし。」
はぁ、とまた深いため息が零れた。深く吐き出された吐息は甘く俺の耳を刺激する。
「ヨシキの中は温かい・・・そしてまとわりつく・・・くっ。」
俺はたまらず額をコウの額に合わせた。近づいた瞳の奥を覗きこむ。
漆黒の瞳はトロリと水を表面にたたえキラキラ光っていた。綺麗な曇りのないその姿は確信を生む。俺だけを感じて、俺だけを求めている・・・コウは俺を必要としている。
そして俺も同じだということを瞳は映してくれているだろうか。
コウに伝わるぐらいに愛おしい気持ちを映してくれているだろうか。
「ヨシキ・・・。」
「なに?・・・あぁ・・。」
「他には何もいらない、お前だけでいい。・・・愛している。
ヨシキだけを・・・愛している。」
愛していると言われたのは二回目。身体が奥底から震え、後ろがキュと締まるのを感じた。
コウの眉間に皺がより、何かを耐えるような表情は恐ろしいほどの色気だ。頭がクラクラする。
「誰かを愛している、そう思えた相手は今までいなかった。親でさえね、もちろん斉宮にだってそうだ。でも俺はコウに出逢って、愛するということを知ったよ。
それはとても強くて、でも弱くて、不自由なのに生きている証のように思える。
だからコウとのSEXは欲望をはきだす行為じゃない。二人で雁字搦めになりながら飛び立とうとすること。前に進むこと、二人の未来、見つめる先が一緒だって確認することだと思うんだ。
コウと生きているっていう実感だよ・・・互いを繋げて気持ちを満たす。
コウ・・・だから不安だったんだ。ちゃんと一緒にいるのかってね。」
「一緒・・・だよ。思いも不安も全て、生きている証だと気が付いたとき、閃が私の顔をみて幸せそうだと言った。私がすべてを委ねられるのはヨシキだけだ。そしてそれはとても幸せなことだ。」
馬鹿みたいに涙をこぼしあいながらお湯の中でユラユラしているだけだというのに、激しい抽出以上の衝撃とうねりが二人を支配していた。
沸きあがってくる感覚・・・今までとは違う奥底からの光。
ああ・・・これが幸福感か、幸せとはこういうことを言うのか・・・。
いきなり握りこまれ扱きあげられた。コウの顔に余裕のかけすらなく、歯を食いしばるほどに堪えているのが見えた瞬間、自分の先端から漏れ出すのを感じた。
「も、だめ・・・・コ・・・コウ・・・あぁぁ・・・」
キスによって喘ぎ声は外に漏れることなく頭の中に反響していく。
夢中でコウの背中を撫でさする。下に移動させれば引き締まった臀部の筋肉がビクビクとうねっていた。頭が焼き切れる・・・。
掴まれていた腰を強く抑え込まれ、下から突き上げられたその時・・・中でコウが大きく膨らみ内壁に熱い程の迸りを感じた。
あああ・・・コウが俺に沁みこんでいく。
多幸感が背中を這い上り脳髄に突き刺さる。一切の抵抗をやめ理性を振りほどく。
握り締められた確かな感触とともに、コウの手の中で果てた。
安堵と幸福感・・・それはとても似ている感情なのかもしれない。
俺はぐったりとコウにもたれた。
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