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「ってゆうか、美優ちゃんのことアイツ呼ばわりすんのお前くらいだぞ〜?なんであんな可愛い子に言い寄られて靡かないかね」
そう言って、先輩は他の先輩に捕まっている美優を見つめた。
チラチラとこちらを見ている美優はどうやらこちらに早く来たいらしいが、美優のことを気に入っているらしい男の先輩の自慢話が終わらないらしい。
ざまぁみろ、こんなとこまでついてくるからそうなるんだよ。
「そんなこと言われても…。興味がないものは仕方ないじゃないですか」
「いや、ぶっちゃけ男なんかタイプだろーがタイプじゃなかろーが、あれだけレベル高かったらキープくらいしとくもんだろ?」
最悪だな、オイ。まあ、一般的な男はそうなんだろうけど。俺は好きじゃない奴は抱きたいとは微塵も思わない。
「俺、浮気とかそういうの無理なんで」
「浮気ね〜、そりゃ付き合ってる場合でしょ?セフレが何人かいるからって浮気とは言わないじゃん」
「それはただのヤリチンっすね」
「だよね〜。それはヤリチンだよね〜。…って、え?!浮気?!待ってもしかして遥、彼女いんの?!」
あまりにも大声で言うもんだから、近くにいた何人かが注目して話に入って来た。
「なになに、とうとう遥に彼女できたの?!」
「私たちの王子が〜…!!!」
「もったいね〜!お前なら遊び放題なのに!」
なんだか面倒な展開になってしまったが、そろそろ本気で美優がうざったいので、荒太のことを彼女って言っておくのも良い策かもしれない。
「…まぁ、はい。」
「「「認めたーーー!!」」」
そこからはもう、質問責めだった。年はいくつだ、可愛いのか美人なのか、何をしている人か、写真を見せろ…。独占欲強いから教えたくない、の一言で全てを跳ね返してやった。
「それ、本当?」
ようやく先輩から抜け出せたらしい美優が、焦った顔で尋ねてきた。
「うん、本当」
「この前はいないって言ってたじゃん!」
「ちょうどあの頃くらいから付き合い始めたんだよね」
本当言うとあの時はもう既に付き合っていたのだが、説明するのも億劫で適当に誤魔化しておく。
美優は悲しそうな、悔しそうな顔をしていたが、そんな表情すら計算し尽くされているように感じて嫌だった。
「そういう訳だから、これからは用事もないのに連絡してこないでね」
「なんで…!ラインくらい、送ったっていいじゃん」
「んー…俺の彼女嫉妬深いからね」
本当は一度も嫉妬した、なんて言われたことはないが、嘘も方便ということで。俺はバイト先の店長にも芽衣にも妬きまくりなのに、荒太はそういうの感じたりしないんだろうか。
「ねぇ…束縛されるのって、嫌でしょ?息抜きしたい時に美優のこと呼んでくれていいよ?」
「残念だけど、そういうの興味ないから」
セールスを追い払う時みたいな言葉だ。浮気相手になります、なんてよくそんなことが言えるな。
「私、諦めないからねっ」
むくれたような顔を向けるこの女は、まだまだつきまとってきそうだ。これからの日々が思いやられる。
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