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side 遙
「っあは。よー、なんか顔こわぁ」
「…大丈夫か?」
この幼稚な喋り方をしているのは、荒太である。
そう、あの荒太。
そんな訳ないだろって?俺が聞きたいくらいだね。だって目の前にいるコイツは、いつもの姿とは百八十度異なっているから。
顔をほんのりと赤く染め、濡れた瞳で上目遣いをするこの生き物は一体、何なんだ。
時は遡り一時間半前。
約束の五分前に居酒屋に着くと、丁度荒太もこちらに向かってきているのが見えた。
ちゃんと来たんだな、ととりあえず一安心。
だが今日は俺にとって、重大な日。荒太を俺から離れられなくさせる日だ。
軽く呑んだ後はホテルか俺の家か、もしくは荒太の家で一気に畳み掛けるつもりでいる。絶対に落としてみせる。
卑劣な手だと言われるかもしれないが、ガードが硬いようなら少し酔わせてから動くのもアリだ。
店に入り、掘りごたつ式の席に着く。乾杯の酒は、荒太がハイボールで俺がビール。
つまみも適当に頼んで、グラスを合わせた。
「適当なこと言って来ないかと思った。」
「変なこと言いふらされたら困るからな。」
酒は好きなのか。勢いよく喉にアルコールを流し込んでいく荒太。
俺はどれだけ呑んでも酷い酔い方はしない。せいぜい、少し気分が良くなるくらいだ。先輩や友人にはザルだと言われている。大抵の奴は俺より先にベロベロになってしまう。
だから、荒太が結構呑める口なのだと認識した俺は、今日は少しは楽しめるか、と期待していた。
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