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「……二人の世界って何だよ、気色悪い。」
「周りの目も気にせずに、あんなに引っ付いて歩いてたじゃん。だから二人の世界。」
「ヨウが勝手にしたんだろ!」
あーあ。素直に礼も言えない俺、可愛くない。
……いや、可愛さとか欲しくないけど。
一限目が始まっても、考え事ばかりしていた。
俺はヨウのことをどう思っているのか。
もし俺がヨウを好きだとして、それはどんな意味でなのか。
もし好きの意味が恋愛的なものだったとしたら、俺はゲイなのか。
ヨウは俺をどう思っているのか。
これから、ヨウとどう関わっていけばいいのか。
結局どの講義にも集中出来なかった。
帰りにヨウの家に、俺が昨日着ていた服を取りに行った。その後はバイトだからと言って急いで出てきたから、ほとんど会話もしてなければ顔も見ていない。
なんとなく避けているみたいになってしまった。
バイトが終わって家に帰り、布団の中でまたヨウとのことを考える。ずっと。
そんな日々が数日続いた。
お陰で俺は寝不足で、隈も出来るし体調も良くない。それくらい、ヨウに対する謎の感情は、俺にとって受け入れ難いものだった。
考えて、若干ヨウを避けている時も、アイツはすぐ俺に話しかけてくる。キャンパスで偶然すれ違った時とか、食堂で俺を見つけた時とか。全く人の気を知りもしないで。……いや、俺が勝手に悩んでるんだけど。
きっと鋭いヨウは俺の不自然な態度に気が付いている。それでも何も気にしていない様子だから、アイツはきっと鋼の心を持っているんだと思う。
自分から積極的に近づく相手に避けられたら、普通傷つくよな?
分からない。ヨウのことが。
分からない分からない分からない。
俺は人の気持ちを汲み取るのが苦手だから。
分からない。
…………分かりたい、のに。
なんで?
ねぇ、ヨウ、なんでなの?
なんで避けるんだ、とか何も聞かないくせに、なんで俺に関わってくるの。
どういうつもりなの。
……受け入れても、どうせいつかは離れて行くんでしょ?
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