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「ぶはっ。」
「…な?!」
え、なに、起きてたの?!
「またちゃんと丁寧にやり直すんだ。」
ククク、と肩を揺らしているヨウ。え、俺、変なことしてたか?
「…起きてたなら言えよ!」
笑われっぱなしで恥ずかしくて、つい語尾が強くなる。
本当は素直になりたいんだけど。…恋する乙女かよ俺。
「ごめんごめん、指一本ずつ剥がす荒太が可愛くてつい。」
「可愛いとか言うな。…ていうかいつから起きてた?」
「んー荒太が俺の口触ってる時から。」
最初っからじゃねーか!と心の中でツッコむ。いや、ほんと、起きてたなら言ってくれよ…恥ずかしいから…。一生の恥。寝ている人の顔をそんな、下心満載で触っていたなんて。
「あんなエッロい触り方されたら嫌でも目覚めるわ。」
「……エッロい触り方ってどんなだよ。」
どんな触り方してたんだよ俺。下心があったから、そんな風に言われても反論できない。だからとりあえず意味が分からない、という感じで返しておいた。
しかしそれが仇となる。
「どんなのって、こんなの。」
「え」
手首を掴んでいたのとは反対の手が、俺の顔に伸びてくる。
顎に添えられた手の親指が、俺の下唇を、表面にギリギリ触れるような感じでスっと撫でていく。
な、なにこれ。
触れるか触れないかという微妙な感覚、でも確かにヨウは俺の下唇をなぞっている。絶妙なその距離感が、俺の緊張感をより高めていく。
「あ、あの……」
「なに。」
なに、って……。俺が口を動かしたことによって、ヨウの指が強く当たった。その流れで、今度は押しつぶして、唇の柔らかさを堪能するように触られる。
ちょっと、なんか……ヨウの色気に充てられそうだ。
その手は移動して、俺の涙袋から目尻にかけて、まるで涙を拭うように優しく撫でた。…一応言っておくけど、泣いてないからな。
目尻に流れた指は、そのまま耳に触れる。形を確かめるように俺の耳を這っていく。さっき見蕩れた、あの綺麗な手で。
俺は左耳たぶに二つ、右耳たぶに一つ、それから右の軟骨に一つ、穴を開けている。
今日はピアスを軟骨にしかしていなくて、後の穴にはピアスホールもしていない。穴を弄ぶように、ヨウの指は動き回る。
だめだ。なんか、くすぐったい。耳は弱いのだ。
声が出そうになるのを必死に堪えた。
「っ、もう、いいだろっ!」
耐えられなくなって、バっと手を振り払う。
「…我慢したような顔しちゃって。」
「くすぐったいんだよ、お前の触り方。」
「くすぐったいんだ。気持ち良いじゃなくて?」
「気持ち良くねーよ!」
……ほんとはちょっと、気持ち良かったけど。ほんとはもう少し、触って欲しいとも思ったけど。
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