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「……とにかく、俺はお前のことなんか好きじゃな」
「俺は好き。」
「………………え?」
このままだと一生話が進まない気がしたので、先に気持ちを伝えた。
ジっと荒太の目を見つめる。
何を言われたのか理解しきれていないような荒太に、再度好きだと優しく告げる。
すると荒太は、一瞬驚きと照れが混ざった顔をした後、少し不機嫌になった。
どうせ、からかわれているとでも思っていたんだろう。
その予想は大当たりで、ふざけるなと怒られた。
ふざけてなんかいない。俺は大真面目だ。男同志の恋愛というものが、なかなか受け入れ難いもとのだということはよく分かっている。
それでも、荒太には俺の気持ちをふざけ半分なものとは言ってほしくなかった。
何かが切れてしまった俺は、無理矢理荒太にキスをする。
荒太の喘ぎ声に急かされるように、キスはより深くなった。
ピク、ピク、と動く指先が愛しくて、自分の指を絡めた。
荒太は抵抗しない。
抵抗しないでいてくれる。
俺と同じ気持ちでいてくれるんだ、と思うと嬉しかった。
もうそれだけで充分だった。恥ずかしがり屋で少し捻くれている荒太にとって、好きだという気持ちを言葉にすることは難題だろうから。
そりゃ、その内、これから先いつかは聞きたい。でも、今はその照れた顔や、握り返してくれる手だけで俺は幸せだ。
だったけど。
「俺…も……好き…………。」
重なった身体から伝わってくる心臓音は、まるで数秒後に死んでしまうのではないかと思うくらい、早くて大きい。
恥ずかしいのか何なのか、泣きそうに俺を上目遣いで見つめてくる荒太。
その表情に興奮もしたけど、そんなになってまで俺に好きだと言ってくれたことが嬉しかった。
俺も、俺も、好きだよ。多分荒太より、ずっと気持ちは大きいけど。
嬉しくて、また気持ちが零れた。
「……好きだよ、荒太。」
side 遙 end
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