アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
56
-
俺の右耳には黒く光る石。
これは、ヨウすごく似合ってるって思った彼のピアス。
寝ている間に、ヨウが着けたのだろうか。
全く気付かなかった。……さっきの夢は、このピアスからくるものだったのか?
指先でそれを撫でてみる。好きな人の身につけているものを持ってるって、なんか嬉しいな。
……俺らって、付き合うってことになるのだろうか。
好き、って言われたけど。
好き、って言ったけど。
男同士で付き合うって、きっとそう簡単なことじゃないと思う。世間の目とか、お互いの距離感とか、厳しくて難しいものはいっぱいあるだろう。
だから、俺と同じ気持ちでいてくれたんだ、じゃあ付き合おう、っていう自然流れになるのかが分からない。
何せ、男を好きになったのも、男に好きだと言われたのも人生で初めての体験だから。
……ヨウはどう思ってる?
俺のことを好きになって、後悔してない?
ヨウが本当に俺のことを好きなのか疑うのはもう止めにした。
そりゃ未だに疑問だ。だって、俺のいい所なんか全然思い浮かばないし、自分に自信なんてものも持っていない。
でも、ヨウのことを疑うのは失礼だと思った。さっきアイツも言ってた。流石に俺も怒るって。
だから、ヨウの言ってくれたことを信じようと思う。
これからどうするの、って聞くのはとても怖い。
まさか付き合うつもりだった?有り得ないから。
とか言われたらどうしよう。……え、どうしようそれは怖い。
試しに想像しただけなのに、頭の中のヨウの冷たい表情は妙にリアルで、少し苦しくなる。
俺って、本当に勇気が無い奴だ。世間でいうヘタレってやつ。
勝手に想像して、ビビって、そんな質問するのは止めようって、決めてしまった。
心の中では言い訳が続く。
でも、だって、好きって言った後も優しくしてくれたじゃん。変に言及すると全く関係が無くなってしまうかもしれない。
それなら、このままでいいじゃないか、
たまに会って呑みに行ったりして、友達のような存在で。……友達、と呼べるのかは分からないけど。
そうだ。絶対にそう。
どうか、俺を突き放さないで。
どんな関係でもいいから、嫌わないで。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
56 / 112