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side 遙
………眠れねぇ。
隣には、まだ少し熱の辛さが残っているのか、すぐに意識を手放した荒太がいる。
一方俺は、いつまで経っても寝る気が起こらず、悶々としていた。
荒太に好きだと言ってもらった俺は、名残惜しくもバイトに向かった。
早く帰って荒太に会いたかったので、巻で仕事を終わらせ、挨拶もそこそこに店を出た。
帰りの電車の中でも荒太のことばかり考えていて、俺の頭の中はアイツで独占されているようだ。
体調は良くなっただろうか。裕也はあまり心配は要らないと言っていたが、それは無理な話だ。自分の大切な人が辛いなんて、嫌に決まってる。
ぐっすり眠っていたから、少しは安心できたけど。
だって、ピアスをつけた時も起きなかったしな。
そろそろ気付いただろうか。勝手に付けたけど、どう思っているか実は少し心配だ。
嫌がられていたら少し悲しい。いや、少しじゃなくてかなり。
荒太はどういうタイプなのだろうか。付き合って、恋人にはあまり干渉されたくない派か、それとも反対か。
因みに俺は後者だ。束縛されるのは信用されてないみたいで嫌いだけどな。
好きな相手になるべく多く関わっていたい、その人のことを深く知っていたい、そういう気持ちはよく分かるから。
お互いを尊重し合って付き合っていけたらと思う。
「……おかえり。」
家に着き中に入ると、洗面所のドアから荒太がひょこっと顔を出した。
首だけを見えるように出して立っている姿は、まるで小さい子供のようだ。
顔を出した勢いのせいか、髪の毛がゆらゆらと揺れていて、可愛らしい印象を強めている。
目付きは悪いくせに、行動が一々愛らしくて困る。主に俺の下半身が。
熱を測れと体温計を渡すが、何故か荒太は受け取らない。
俺に測って欲しいのか、とからかうと、やっと慌てて動き出した。……何かあったのか?
まだ微熱みたいだし、そのせいだろうとあまり気にせずにいた。
その後飯を作った。あまり食欲は無いみたいだったから無理はしなくていいと言ったんだけど、頑張って口に運んでいた。
残すのが嫌いなのだろうか、茶碗に入ったぶんのお粥は完食した荒太。ほんと、見かけによらず健気だよな。
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