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今日で、一緒に大学に行くのは二回目だ。
前はヨウのせいで騒がれたけど、今日は静かだと嬉しい。
そんな俺の願いも虚しく、キャンパスに着けば大勢の人が群がってきた。
「きゃー!また一緒に来てるー!」
「朝から幸せ…!」
一緒に来ちゃ悪いかよ。俺とは違って人気者なヨウが、なんだか凄く遠い存在な気がした。
大学に行くと言ったのは俺だけど、来なければ良かったかもしれない。
「はいはい、どいてどいてー。」
周りの女子達を雑に払っていくヨウ。適当な扱いを受けているにも関わらず、彼女たちは嬉しそうな表情を浮かべている。ドМかよ。……俺と一緒かよ。
その中の一人がヨウに話しかけた。
「とうとう椎葉君と仲良くなったんだねーっ!」
「あ…?あぁ、そうそう。やっと懐いてくれた。」
「懐くって、犬みたいな言い方じゃーん。」
「…どっちかっていうと荒太は猫っぽいけどな。」
「じゃあヨウは飼い主さんだね!」
誰が猫だよ!しかも飼い主がヨウとか絶対ヤダ。毎日毎日意地悪されそうだし。
俺は虎とか豹とかもっと強そうなのがいい。
でもそんなことよりも、ヨウと仲が良さそうなその女子が気になる。とても。
会話は弾んでいて、女子の方は明らかにヨウに気があるっぽい。
……別に、ヤキモチなんかじゃない。
「じゃ、また。」
「ばいばーい。」
可愛らしい笑顔で両手を振るその姿は、THE 女の子 って感じだ。俺には絶対に真似出来ない。
……それにしても、なんかあの子見覚えがあるんだけど。同じ学校に通ってるから、見たことがあるだけだろうか。
思い出せずにモヤモヤしていたけど、それは昼休みに解消された。
いつもの場所で飯を食っていると、朝の女子がヨウに話しかけてきた。
「伊織く~ん、隣良い?」
「…あぁ、別にいーよ。」
向かい合って座っていた俺ら。
ヨウの隣には朝の女子、俺の隣にその友達、という座席になった。
まるで二組のカップルか向かい合ってるみたい。おい朝の女子、そのは俺の場所だぞ、なんて対抗してみる。勿論心の中で。
……まあ、食堂混んでるし、仕方ないけど。
「伊織くんって、いつも学食なの?」
「うん。」
「え~、たまには手作りもしなきゃ。…そうだ!今度お弁当作ってきてあげようか?」
はぁぁぁん?俺だってヨウに弁当作ったことないのに!
ヨウに弁当を作るのは、付き合ってる俺が先だ。貴様の出番では無い。
ていうかなんだ。彼女面したいのか?それとも、料理できますアピールか?
俺だって料理くらいできるっつーの!
心が狭い俺は、この女子に対する不信感をつらつらと述べていく。勿論心の中で。(二回目)
「ありがとう。…でも、遠慮しとく。」
「えぇ~、気は使わなくていいよ?私料理するの好きだし!」
あからさまなヨウへの自己アピールが半端ない。
大人しく遠慮されとけばいいのに。
そんなふうに思う自分が、情けない。…ほんと、性格悪いよな俺。
「んー、でもごめん。弁当作ってもらうと、ヤキモチ焼く子がいるから。」
チラッ、とヨウが俺の方へ視線を投げてきた。
バカ!俺はヤキモチなんて焼いてない!
そう言い出しそうになるのをグッと堪えて、視線だけで訴えた。
伝わったかどうか知らないが、ニヤっと笑ったヨウは、話を続ける女子に視線を戻す。
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