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side 遙
荒太が足りない……。それだけでも、俺の鬱憤は溜まっていたのに、面倒事が更にまた一つ増えた。……そして悩み事も。
面倒事というのは、美優だ。
頻繁にラインが届くわ、電話もくるわでスマホの通知が喧しい。
俺はラインも番号も教えていないんだが。流した奴出てこいコラ。
返事をしなくても次のメッセージが届く。既読無視しても次のメッセージが届く。…どれだけ自分に自信があるんだ全く。
正直言って邪魔だ。
大学でも度々話しかけてきて、荒太との時間を削ってくる。
元々、俺はああいう女の類が得意じゃない。
……なんていい風に言ってみたけど、ハッキリ言うと嫌いだ。ギャルっぽいし。
色々思うところはあっても我慢していた。…でももう耐えられない。限界が来ている。
そう思った事の発端は、昨日のバイトでのことだった。
俺はとあるレストランでバイトをしているのだが、美優がそこに押しかけてきたのだった。
友人と来ていたのだが、それは荒太に気がある芽衣、という奴で。
来ちゃった、なんて言われたけど何も可愛いと思えない。むしろ苛付くからやめて欲しい。
……あー、荒太がそう言いながら今日俺の家に来てくんねぇかな…。
…まあ、客であることに変わりはないので、普通に対応して席へ通した。
そして何故か運悪く、俺は美優達の席へ料理を運ぶ回数が多かった。
料理を持っていく度に少し引き止められ話を聞かされて、ウンザリしてくる。俺はバイト中だ。
客を邪険に扱うことも出来ないので、営業スマイルでやり過ごした。
裏に戻ると先輩に冷やかされ、モテる男は大変だね~なんて人事のように言われる。
…いや、人事なんだけど。
時間が経ち、本気で帰ってくれないか、と言いそうになった時、思いもよらぬ話を耳にした。
「あ、ねえ、ヨウは知ってる?椎葉くんと仲良い、格好良い男の人!」
「……?知らないけど。」
…そういえば、俺荒太の大学外での交友関係は全く知らないな。
「昨日ね、夜に椎葉君見かけたの!笑顔だったし、かなり気許してた感じでびっくりしちゃった!一緒にいた人、最初は後ろ姿しか見えてなくて、ヨウかな~っておもったんだけど。」
……昨日?俺は勿論荒太には会ってない。そして荒太は先約があると言っていた。おそらくその、約束の相手だろう。
……なんだ、男だったのか。
相手が男だから嫉妬が消えるかと言えば、そうではなかった。
むしろ荒太が笑顔を見せる程の関係で、気を許しているなんて。余計に嫉妬は深まるばかりだ。
そもそも荒太は、俺が彼氏でもあるのだから、男相手の方が危ないのかもしれない…?
「それでね、気になって見てたら椎葉君がフラついて。それを助けて、支えながらまた歩き始めたんだけど、その時に顔が見えたの!すっごく格好良かったなあ~!」
……荒太がフラついた?何かあったのだろうか。
怪我でもしていなければ、思い当たる節は一つ。…酒だ。
それからも美優はベラベラベラベラ喋っていたけど、内容はあまり覚えていない。
荒太と、仲の良い男。誰だよ。
しかも、支えて歩くだって?荒太に触ってんじゃねーよ。
独占欲が俺を支配して、荒太に手枷を付け足枷をつけ、首輪を付け、俺の部屋に閉じ込めておきたいという黒い考えが、頭を覆い尽くす。
俺の部屋という檻から、一歩も出ずに、曜日も時間も関係なく俺のことだけ思っていればいいのに。
荒太の素顔は俺だけが知っていたい、なんて馬鹿みたいなことを考えた。
side 遙 end
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