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俺たちにサボったペナルティとして課題を与えた獅子原は、軽く注意だけして出て行った。
その様子を黙って見ていた拓海がすかさず寄ってくる。
「慧っ!いくらお前でもリカちゃん先生はヤベぇって!」
「リカ?」
「獅子原先生!名前を音読みするとリカになんだよ!」
ハッ…。
あんなナリしてリカちゃん、ねぇ…。
「慧だって噂ぐらい聞いたことあるだろ?この学校の近づいちゃダメなもの3つ!」
「噂だけはな。教頭と旧校舎はわかるけど、なんでアイツも?どう見ても弱そうなんだけど」
さっきまでここに座っていた獅子原は、噂になるほど怖そうに見えなかった。
いかにもモテそうな男。あの不敵な笑みは自信の表れだろう。
「俺には嫌味なやつにしか見えねぇわ」
理解できそうにない噂話に興味など持てない。
それなのに、なぜか拓海は話をやめない。
「リカちゃん先生がキレると誰も止めらんねぇの!噂では元ヤンとか族の頭だったとか言われてるんだからな!!」
「元ヤンって…ありえねぇだろ」
「どんな問題児だってリカちゃん先生には逆らえないんだから!この前、ケンカしてた三年生がいてさ、全員廊下に並べて正座させたらしい」
「そんなの別に大したことないだろ」
今時、正座させるなんて古いけれど教師が生徒を怒るのは当たり前なんじゃないか。
だからどうしたんだ?
俺にはいまいち理解できなかった。
「すっげぇ暴れてたのがリカちゃん先生が現れた瞬間、おとなしくなったらしいぞ」
「へぇ」
「へぇ。ってお前なぁ……ッ!!」
伝わらないもどかしさからヒートアップしていく拓海。
それを遮るように今まで黙っていた歩が鞄を持って近づいて来る。
「2人で盛り上がってるとこ悪いけど、俺バイトだから行くわ」
「俺も帰る」
歩に続き、俺も自分の鞄を手に取った。
「ちょい待て!!人がせっかく説明してやってんのに置いていくなってば!!!」
2人で教室を出て行けば後ろから拓海が走って来る。
リカちゃん先生とか心底どうでもいい。
俺は自分に関係ない事までとやかく言うほど暇でもないしお節介でもない。
究極の自己主義かつ面倒臭がりだからな。
ただの担任に興味は持てそうになかった。
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