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episode10-6 学園祭
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4号館の3階のトイレ、一番奥の個室。
秀英学園の制服と付箋が蓋を閉めた便器の上に置いてあった。
『これ着て待ってて♡』
♡にいらっ、としながら服を着替えた。
着てきた服は制服の入っていた紙袋にいれる。
蓋の上に座り、ぼーっと天井を見つめる。
行為の最中何度も何度も揺さぶられている内に自分がふわふわになる感覚を覚えるようになった。
身体はそこにあるはずなのに自分が曖昧になっていく。
中身のない身体だけが周りには見えていて俺そのもの、がいなくなってしまう気がする。
「消えられれば良いのに…」
こんなグチャグチャな心と身体でこれから何十年も生きていける気がしなかった。
3号館は中学の教室があり、高校の学園祭の間は園田たちが明けたと思われる裏口以外の入り口は閉まっているので人がおらず静かだった。
遠くで音が聞こえたような気がして、ハッと我に帰る。
ダメだ、こんなんじゃ。
こんなの一時的なものだ。
高校を卒業して、大学に行って、就職して、その頃にはもう園田のその字も聞かなくなっている。
今だけだ。
トイレに近づく足音を聞きながらそう思い、覚悟を決めた。
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