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結婚までの日々 19
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俺の様子を見て、ルファーンが申し訳なさそうに頭を下げた。
「急にこのような話をしてしまい、本当に申し訳ございません。しかし、今私が申し上げたことは全て事実であります」
「いえ…驚きましたが、色々と納得できたので…」
俺はルファーンのために普段より明るめに話そうとしたが、逆にか細い声を出してしまった。
暫く沈黙が訪れた。
…駄目だな。仮にも、俺は男として生まれたのだから、しっかりしなくては。
俺は深呼吸をし、混乱する頭を落ち着かせた。
「私とレノン王子が結婚することになった理由は、よくわかりました。それで、レノン王子のお話というのは…?」
俺がそう切り出すと、ルファーンは今まで以上にかしこまった様子で話し始めた。
「はい。レノン王子は、幼い頃からルナ王子のことをご存知でした。それはもちろん結婚相手として、です。そのため、レノン王子はユストリアの外務大臣がいらっしゃる度に、ルナ王子のお写真を拝見したり、近況を聞いたりしていらっしゃいました。
そのうちレノン王子は、ルナ王子が男性であると知りながらも、ユストリアの外務大臣のお話の中のルナ王子に恋心を抱かれるようになりました。
そして、昨日お会いした時、どこか曖昧であった恋心を、はっきりとしたものとして感じられたと、仰っていました。
…ルナ王子。私から、どうか言わせてください。レノン王子はただ、国のためにあなた様を迎えたとは思っておりません。ルナ王子を本当に愛していらっしゃるのです!」
ルファーンは、真剣な表情で、俺にそう訴えかけた。
「…わかっています。レノン王子を見ていれば、本当に愛してくれているのだと、よくわかりました」
俺は、思った通り、そう答えた。
男のくせに男に対して頬を染めるな! とか思ってはいたものの、レノン王子の俺への思いは痛いほどに感じていたのだ。
ルファーンは、俺の返事を聞くと、安心したように微笑んだ。
「人と人との絆はすぐには出来上がるものではありません。しかし、レノン王子とルナ王子なら、きっと、深い絆で結ばれることが出来るはずです。私はそう、確信しております」
「…はい」
「それでは、最後に一つ、よろしいですか?」
ルファーンが、さっきまでとはまた違った真剣な表情になった。
「はい?」
「このルナ王子のお部屋の本棚に用意しておりますものは、アストカルや諸国に関する文献や、その他諸々の知識を身につけて頂きたく揃えたものでございます。これから結婚式まで十分お時間ならございますので、そちらに目を通して頂きたく存じます」
「……はい」
衝撃的な事実のみならず、まさかの勉強をしなければならならい現実に、俺は少し泣きそうになってしまった。
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