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03.涙
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この変態教師。
白衣を身にまとった中年男に視線だけでそう罵倒する。
最近、なにかがおかしい。
とは言っても俺の生活はこれまでと特に変わらず、その変化に巻き込まれているのは主に陽汰だった。
「安藤くん、次の授業のことだけれど……。」
「はい。」
いちいち近ぇんだよ。
わざと睨みをきかせるが、奴はさも気付いていないかのように更に陽汰との距離を縮める。あの野郎。
理科の教科担当係である陽汰と理科教師である佐伯が関わることが多いのは分かる。
普段、極力他人との関わりを避ける陽汰だが、教師相手となれば無下な態度は取れない。
それを知ってか、佐伯の奴は最近露骨に陽汰に話しかけているような気がしてならない。
陽汰とは最近になって話す機会が増え、週末には家にくることもある。
だからこそ友人として心配しているのだ。陽汰は気にしすぎだ、と言うが。
「世留くーん、顔コワイよー?」
「……佐伯って、4月から赴任してきたよな。アイツどんな奴。」
「えー、佐伯?どんなって、特に噂も聞かないけど。授業は分かり易いって評判みたいだし、人気はそこそこあるんじゃない?」
情報通の真緒によると、佐伯は理科担当の新任教師で35歳独身。多分彼女なし。顔はまあまあで女子からの人気そこそこ。
授業は分かり易く、親しみやすい性格のため生徒からの人望もある。
まぁ、これだけ聞けば理想的な教師像といえるかもしれない。
「クラスの女の子も、コバセンじゃなくて佐伯センセーが担任がいい〜なんて言ってたよ。」
「ハッ、絶対にやだね。」
「あれれ、佐伯センセーは世留くんのお眼鏡には適わなかったかにゃー?」
我がクラスの担任であるコバセン…39歳独身、ジャージ姿に寝癖頭がチャームポイントのコバセンこと小林の方が佐伯に比べればまだマシだ。
とりあえず、佐伯はやばい。
俺の勘はよく当たる。その上で佐伯は危険だと、俺の脳内が警報を鳴らしている。
陽汰と接しているとき、佐伯の目が時折ギラギラと光っていることに最近気づいた。
男である陽汰にどんな危険が及ぶかなんて想像し難いが、当の本人があまりにも無防備だ。
陽汰はああ見えて綺麗な顔をしている。それを知った男が間違いをおこすことが万が一にも無いとは言えない。
それに、クラスメイトとの関わりが少ない陽汰なら余計に狙われやすい。
しかし、俺だけでも動きを見張っていれば佐伯はそう簡単に下手な真似は出来ないだろう。
このまま何もないといいのだが。
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