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はぁ…………。
寂しい。
こんな気持ち。
今まで感じた事なかったのに。
家の裏の公園までオレを送り届けてくれた白石さんは、じゃあなと言って行ってしまった。
バイトに行く時間ギリギリまで、オレと一緒にいてくれたんだけどね…………。
家に帰って、自分の部屋のドアを開ける。
「………兄ちゃん」
ジャージ姿で前髪だけを縛って、オレのベッドでゴロゴロしながらマンガを読んでいる兄ちゃん。
人が出掛けてる間に、この人なにやってんの。
「あ、帰ってきた。もっと遅くなると思ってたのに、思いの外早かったね?」
「白石さん、今日午後からバイトだから」
「ユキちゃん今日もバイトなの?相変わらず忙しい人だねぇ。あ、そうそう。まだ、ユキちゃんには話してないんだけど今度のゴールデンウィーク、4人でお泊り行かない?」
ゴールデンウィーク?
4人?って誰?
「せいとユキちゃんと俺と優の4人で。優のお家の別荘に行きたいなぁって」
「優さん?別荘?」
優さんって確か……。
インテリ眼鏡さん…………だったっけ?
「あれ?ユキちゃんから優の話聞いてない?俺の中学ん時からのお友達、ユキちゃんも高校から一緒だよ?んーとね、中学校の近くのバス停ら辺に、保育園と一緒になってる大きなお寺があるの知ってる?」
お寺……あ、知ってる。
「うん」
「あそこのお寺が優のお家だよ?」
「えっ?!」
兄ちゃんは白石さんといい、なんて人と友達なんだろう………。
「優はユキちゃんみたいに喋べるタイプじゃないけど、悪い人ではないから大丈夫。ちゃんと優にはせいの事も、ユキちゃんの事も話してあるから」
「いやでも……白石さんに聞いてみないと」
「ユキちゃんには今日の夜にでも俺から話しておくよ。ほっとくとユキちゃん休みの間、バイト詰めになるから。行こうと思ってる優のお家の別荘は海の近くだから、きっと楽しいと思うよ?」
優さんって人に迷惑じゃないのかな………でも白石さんと一緒なら行ってみたいなー。
「ね?一緒に行こう?ユキちゃんの運転で」
「へ?」
「優に運転させると、人が変わってめちゃめちゃ荒い運転するから、せい乗せるの怖いし。ユキちゃんの車の方が荷物乗るし、せいもユキちゃんが運転してる姿好きでしょ?」
嫌いじゃないけど………。
「色々と詳しい話はユキちゃんとするけど、せいは行くの決定でいいねー。ユキちゃんはせいが行くって言ったらきっと、死んででも行くって言うから大丈夫」
それは大丈夫じゃないと思う。
兄ちゃんの強引さに呆れつつも、オレは少しだけ今度のゴールデンウィークが楽しみになった。
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