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夏祭り(後編)
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(長文になってしまいました…………………(汗))
花火大会。
それは、ワクワクとドキドキが交差する………フフ。
「おぉ………………………っ」
マンションにどよめく、歓声。
西日が窓に差し込む時間。
皆が浴衣に袖を通しだし、互いの姿に新鮮味を感じていた。
ええ、まさに任侠映画のモノホン版。
「錦戸さん、伊勢谷さん、めっちゃ素敵です!」
花崎は、二人を見つめ、感嘆の声を上げる。
黒地に白い縞模様に糸が織り込まれた、錦戸の浴衣姿と、白地に藍色の小波にすすきが入れられた、伊勢谷の浴衣姿。
クールな錦戸と、美人の伊勢谷によく合う色合い。
そして、そんな錦戸達に笑顔を振り撒く花崎も、少し薄めのブルーに、ランダムに白い絞りが入った浴衣がよく映える。
若く、爽やかさがある花崎にはぴったりだった。
「お前……………………ええ目利きしとんな。雰囲気によう合ってんで」
「でしょ~?呉服屋で、奮発して来ましたさかい、物も中々ええやつですョ♪」
錦戸の誉め言葉に、花崎は鼻高々にVサイン。
「ほな、お金払わんと懐痛とうないです?俺も、払います」
「ホンマやな、悪いわ」
『ええやつ』と聞いて、伊勢谷や錦戸は自分達の財布を取り出すと、花崎に少々分厚い万札を差し出す。
一応、先輩ッスから。
年下に奢られては、顔が立ちません。
「いや、そんなん大丈夫ですってぇ………………大体、それ多過ぎますっ」
さすが、天下の竜童会。
デキる奴等は、金持ってます。
しかも、気前がいい。
花崎は、出された札の束の前に手で壁を作り、慌てて拒否する。
「なら、俺がお前らにプレゼントするわ。それやったら問題ないやろ」
え…………………………。
その声に、男3人、一気に胸高鳴る。
「お前ら、よう似合うてるやん」
親父ぃ……………………!!
皆、一番に見たかったんです、この方の浴衣姿。
少し大きめに開いた胸元をさらし、そこからチラつく厚い胸板、それを覆う渋く深い草色に黒が入った縞市松柄が、なんとも大人の色香を漂わせてる。
軽く髪をかき上げてる裾から覗く、筋肉質な腕も最高に、キュンものです。
「ヤバ…………………やっぱり、めちゃ似合っとる」
浴衣の渋さと、程よく焼けた肌が、またいい具合にマッチして、花崎も思わずポツリ。
正直、そそられる。
「こりゃ…………………女が集るな」
錦戸、今から気が気じゃない。
いえ、貴方達も充分イケてます。
「親父もこないに素敵やったら…………………高橋さんも…………………………」
嵩原の涎ものな浴衣姿に頬を赤くしながら、伊勢谷は高橋の登場を待ちわびる。
夏って、皆をエロくさせるんだな…………………。
硬派?な男達も、花火大会行く前から気持ちは出来上がってる。
バタン………………………
「若っ………………まだ、帯がええよう結べてません。動かんといて下さい」
「えー、そうなんか?高橋ィ、ちと苦しいぃ」
「あきません、若は動きが荒いから、キツめがええんです」
出た。
相変わらず、ラブラブな二人。
皆が準備万端な状況で、仲良く高橋に帯を締められながら、大和登場。
「あ?何や、お前ら………………まさか、一緒に着替えとったんか?」
お父ちゃん、秘かに、イラッ。
「しゃーないやん。俺、着付け全くわからんし」
「俺かて、着付け出来るわ」
「え?そうなんや…………………でも、高橋んが上手そうやで」
確かに。
「失礼やな…………っ!伊達に、『仁義○き戦い』DVD全巻持ってんでっ」
「そっから学んどんかい!高橋でええわ、もう!」
……………………確かに。
「親父…………………折角の色男が崩れますさかい、今日くらい男前通して下さい」
呆れる錦戸の後ろで、花崎達も苦笑い。
でも、こんな親父だから、皆好きなんです。
「クス…………………ま、ほな行きますか?前の道も、随分賑おうてきたみたいですさかい」
高橋は、然り気無く大和の襟元を直しながら、皆に声をかける。
そんな高橋の浴衣は、グレーに十字カスリ柄。
気品と、知性が漂う高橋にはよく映る、綺麗な出で立ち。
伊勢谷達のドキドキを、しっかり誘ってる。
「大和…………………」
「ああ?何やねん………………また、何か文句か」
皆の背中を追い、嵩原はわざと遅れ気味に部屋を出ながら、大和を呼び止める。
「今夜…………………帰ったら、ソレ脱ぐなや」
「……………………はい?…………………何で」
「俺が脱がしたるわ…………………お前の身体、浴衣着たまま犯したいねん」
「は………………………」
犯すぅぅ…………………っ!?
恐るべし、エロスイッチ。
瞬く間に真っ赤な顔で固まる大和の耳元で、ほくそ笑むお父ちゃんの声がこだまする。
「俺から見たら、お前の浴衣が一番欲情すんな」
ピチピチの若い肌に、淡いブルーの滝縞柄。
明るい茶髪の大和の顔を、とても引き立てる。
「花火大会、早よ終わらんかな………………♪」
「なっ……………………」
じゃあ、何で花火大会……………!?
鼻唄混じりのエロオヤジを見上げ、大和、絶句。
「お、俺…………………高橋にくっついてよ………………」
花火大会、前途多難でしかない。
ヒュゥゥ…………………ドドーン。
それでも、花火大会は始まる。
多くの客の歓声がわき起こり、辺りは色とりどりの光が景色を染める。
「若、何か食べるもん、買うて来ましょか?」
身の危険を察知している大和、高橋にくっついてます。
皆で足を進めながら、高橋の隣を陣取り中。
「せやなぁ……………………」
と夜店に目を向けながら、大和はふと気付く。
俺ら、目立ってんな………………………。
背も高く、ガタいもそれなりにいい男6人、浴衣で歩いてる。
自然と老若男女問わず、進むそばから振り返る。
「ねぇ………………あの人達、モデル?」
「かっこい~♪」
そんな声が、耳をかすめる。
モデル?
ヤクザです。
口が避けても言えないが、そう突っ込みたくなる。
「兄ちゃん…………………このたこ焼き、不味いで。これで800円はボッてんな」
い……………………っ。
フリーなオヤジ、いきなりフリー。
高橋と歩いてる大和の目の前で、お父ちゃん、早くもヤっちまってます。
「あ………………ホンマです、親父。これは、いただけません」
しかも、たこ焼きを頬張り、錦戸まで参戦。
「最悪ですね…………………的屋に向こうて、喧嘩売ってます。どこぞの組と繋がっとるかもしれへんのに、どこまで自由なお人や」
呆気にとられる大和の横で、高橋は重い溜め息をつく。
「高橋…………………わかっとったけど、俺らが平和に終わるワケないわな…………………」
ただてさえ目立つ奴等が、余計に目立つ。
「なんだとぉっ!!ナメた事言うんじゃねぇぞっ」
そして、案の定的屋は怒り出す。
ヤンキーかチンピラ風情の男が二人、嵩原に向かって声を荒げる。
でしょうね。
「ナメた事言うてへん。正直に物申しただけや」
すみません、そんな威嚇にビビるお父ちゃんではありません。
「百歩譲って、400円で許したるわ」
全く動じる事もなく、上から目線。
たこ焼きに。
「ふざけんなァァっ!!」
もっと言うたってくれ……………………。
大和は、的屋が気の毒で、同情しきり。
怒りの収まらない男達は、店の前に出てきて、嵩原に掴みかからんと、腕を出す。
ガシッ……………………
「おいコラ、誰に手ぇ出しとんねん。お前ら、商売出来ひんようにしたるぞ………………ええんか、ボケ」
つかさず、男の横から胸ぐらを掴み、花崎が止めに入る。
「……………………っ…………………」
コイツら、何者………………!?
男は花崎の凄みに、言葉を失った。
……………………御愁傷様としか、言いようがない。
「兄ちゃん、たこ焼き400円な♪」
たこ焼き、オヤジの一言で、半値で売られる。
「きゃぁ…………………お兄さん、超美人♪」
「私達と、花火見ません!?」
「え………………………」
そんな中、美人の伊勢谷は伊勢谷で、肉食系女子に捕まっていた。
パッと見、このメンバーで最も話しかけやすそうな、柔らかい雰囲気の伊勢谷が標的となる。
「いや…………………すみま………」
「ビール、買って来たんですぅ~!ね?いいですよねぇ?」
何がいいのか。
やたらと香水臭さを振り撒き、伊勢谷の身体をベタベタと触りまくる。
伊勢谷、ドン引き。
女って………………………。
グイッ………………………
「申し訳ありません。有り難いお誘いやけど……今、仲間で来とんで、返してもろうてええですか?」
こんな時の、頼れる高橋。
「あ…………高橋さん………………っ」
戸惑う伊勢谷の腕を引き寄せると、女子達に優しい笑顔で大人な対応。
紳士である。
「や、やだ…………………ごめんなさい……………」
女子達は、顔を赤く染め、恥ずかしさで後退り。
ついでに、高橋の胸へ身体が沈み、伊勢谷も頬を赤くする。
「伊勢谷は、優しいさかい、狙われやすいねん」
「あ、ありがとうございます………………」
高橋さんなら、狙われてもええ…………………。
そう思っちゃいます。
「…………………さすがやな、高橋……………そつがない」
ちゃんと周囲へ目を配り、フォローを欠かさない高橋に、大和は頷きながら、感心しきり。
「台風の目とは、大違いや」
それ、誰ですか?
「アホ言え、台風の目は穏やかやぞ」
「周りが巻き込まれとんやから、一緒やろ!……………て………………うおっ!?親父…………っ!」
いつの間にやら、背後にお父ちゃん。
ちゃっかり、たこ焼き持参で現れる。
「そないに、警戒せんでもええやろ?俺かて、お前と花火見たいし」
「見たいって………………だって、さっきは…………」
犯す。
恐ろしい事を、平気で言う。
「たこ焼き食べるか?………………デートみたいやな」
見上げる大和に、迫る父親の格好いい笑顔。
「た……………………食べるわ」
お父ちゃんに一つ取ってもらい、『アーン』してもらっちゃいました。
ヒュュュゥ…………………ドドーン……………
「ま、不味い……………………」
照れ臭くて、ホントは味わかりません。
「………………………せやろ?」
連続で上がりだした花火の音でかき消され、微かに聞こえる会話が二人の距離を縮める。
「親父………………………」
大和が呼べば、嵩原は目を細め、顔を近付ける。
「……………………好きやで…………………大和」
そして、愛の言葉と重なる熱い口付け。
「んっ………………も、見られるやん……………」
「誰も見てへんよ…………………花火に気ィ向いてる」
終わりに近付く花火に、誰もが気を取られる最中、二人だけは互いの姿を見つめ合う。
「…………………花火、悪うないな…………………」
「うん……………………悪うない」
ソース味のキスが、また美味しかったり……………。
「あー、せやけど、そろそろ帰ってもええな…………」
「え……………………それって…………」
「今夜、徹夜やし♪」
「…………………マ、マジ………………」
楽しい夜は、終わらないのだ。
(『恋愛男子+』いつもありがとうございます!!チマチマやっておりますが、今回は後編、書きたい事がありすぎて長くなってしまいました。すみません(>_<)あぁ、浴衣でいたぶられる大和まで、いきたかった……………私も、エロスイッチ入ってました(汗))
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