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涼の恐怖とも言えるメールを受け取ってからは水分補給以外では休憩無しで体を動かした。休憩してたらまたおかしなメールが来そうで。
「先輩お疲れ様ですー。やれば出来る子」
「…馬鹿にしてんのか」
「やだなー、そんな訳ないじゃないですか」
後少しだけだったからメニューも直ぐに全部終わって、舞那ちゃんが俺の頭を撫でて終わらせたのを褒めてきた。
こう言うところも桐華さんに似てるよなあ…。もしかして生き別れの姉妹…それは無いか。
「はい、コートお返ししますね」
「ん…」
舞那ちゃんからコートを受け取ってそれを羽織って腕を通す。…あれ、これ涼持ってなかった?そう言えば、涼の姿が見当たらない。
「椿先生なら『やらないといけない仕事があるから』…って先輩が終わるほんの少し前に校舎に戻りましたよ」
「…そー」
涼戻ったのか。数分位待っててくれても良かったのに…なんて、どうせ恋人らしいことなんてここでは出来ないからある意味時間がズレて良かったかもしれない。それに仕事なら仕方ないよな。
「…ん…?」
手をポケットに突っ込むと不自然な温もり。
カイロみたいに温かい、筒状の何かがポケットに入っててそれを取り出してみる。
『コーンポタージュ』と書かれたその缶をくるくると回してみると底に『ちゃんと温かくして風邪引かないように』とマジックで書かれていた。
…嗚呼、もう…。涼が今、この場所にいて2人きりでいれたら抱き着けれたのに。
「先輩~?嬉しそうな顔してどうしたんですか?」
「…何でも、ない」
「嘘ー。すっごい可愛い顔してたのにー!それポケットに入ってたんですか?誰?誰から?先生?」
「…俺と、あいつが互いにどう思ってるか知ってんだろ?」
この状況で嘘ついたら逆に怪しまれそうなので自分からは否定しなかった。俺嘘吐けてもバレバレらしいから。
嘘ではない。聞き返しただけだ。
「あははーそうですよね。願望に走りました」
「がん、ぼー…?」
上手く行く自信は無かったけど、舞那ちゃんから否定してくれたからまあ、成功だろう。
この手は使えるかもしれない。学校でまた涼関係の事聞かれたら同じように聞き返してみよう。
「先輩と先生が実は仲が良くて、先輩が先生のこと大好きでで2人きりの時はあんなことやこんなことをしてるって言う…?」
「え、な…な…ば馬鹿じゃねぇの…?!!」
今度はまた別の問題が発生。何だよこの子エスパー?エスパーなの??
思わず声を荒げてしまって、しまった、と我に返る。怪しまれなかっただろうか。俺、今顔赤いだろうし…。こう言うところも演技でどうにか出来たら良いのに。
けど、そんな心配は無用だったようで俺が荒げたのはそう言われて怒って、赤面したのは戸惑いからだと舞那ちゃんには映ったらしくわたふたと慌て、弁解しだした。
「いや、あのですね!そう言う話結構女子の間であるんですよ?!私だけじゃないですからね!でも先輩は嫌でしたよね…!」
「…じょ、じょし…の、間で…っ」
琉生が1年の時そんなこと言ってたかもしれない。一時的なものだと思ってた。…まさか、1年にもその話が出回っているなんて。
それに、願望ってことは舞那ちゃんも真さんみたいな所が…??
涼があの時「腐ったやつは怖い」…って言ってたのが今なら分かる気がする。もしかしたら、本当はバレてるんじゃないかと思ってしまいさえもする。
怖い…センサーでもついてるんだろうか。
「せんぱぁい…怒らないで下さいよーもう言いませんから」
「…怒って、はねぇけど…おどろ、いた…」
もしかしたら演技をするだけじゃなくて、もう学校で話すことすら止めた方が良いんじゃないか。
冷めて、ほんのりと温もりが残るポタージュをちびちびと飲みながら必死で謝ってくる舞那ちゃんの隣で、どうすればそのセンサーから逃れられるかと考えを巡らせた。
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