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もっと時間が欲しかったけど有限であるそれは止まってはくれず、時は流れセンター試験当日になった。
前日まで勉強に付き合ったが、水瀬さんの正解率は上がったり下がったりと不安定な状態。そんな不安が残る中迎えてしまった本番。
教師じゃないし、慣れないやり方で教えたから俺だって至らない所もあったとは思う。でも、教えれることは教えた…つもり。
後はどれだけ水瀬さんが丁寧に問題を解いていけるか。
苦手意識があるのに適当にやってても正解はしない。苦手だと思うからこそ、丁寧にしなければいけない。
…と、俺は何度も彼に言ったのであるが、それを本番で活かしてくれるだろうか。
『水瀬さん、落ち着いて問題を良く見て解くこと。大事だと思ったところはメモしたりして視覚的に分かりやすくしておいて。時間が余ったらちゃんと見直しもしてね。水瀬さんなら大丈夫。力はちゃんと付いてるから。苦手意識を持たないでチャレンジすること。頑張ってね』
試験前にメールを送って、水瀬さんがへまをしないことを祈りながら、俺は自分のことをする。
見送り…は出来れば良かったんだけど朝は忙しいから無理。終わったら迎えに行こうかなあとは思ってる、その代わり。
「ハーニィっ」
「ひゃん…っ?!!」
「今日も可愛い」
「あ、う、うん…おはよ」
朝飯を作っていたら後ろからそいつは抱き付いてきた。
擦り擦りとしてくる兄貴の髪は濡れていて冷たい。体も肌色の面積の方が大きい、つか全部の肌色。…全部??
「せめて下着は穿いてよ」
「持って行くの忘れてた」
「ったく…、馬鹿。もうすぐで出来るからさっさと服着て」
「着るから卵焼き頂戴〜」
「うわっ?!」
ぬっ、と後ろから手が伸びてきて切り分けている最中の卵焼きを掴んで、自分の口に放り込んだ。危ないな、もう。指切れても知らないぞ。
「ふふっ、美味し。俺の為に甘い味付けにしてくれてる昴流大好き」
「はいはい、食べたんだから服着てきてね」
甘党の兄貴の為にちょっとだけ砂糖を入れた卵焼き。試行錯誤を繰り返し、今の甘さに落ち着いたそれ。
「もう1個〜」
「もー…今食べてたら無くなるじゃんか!」
「俺の手が止まってくれない」
さっさと着替えて来いって言ってんのにまた1つ摘み食い。気に入ってくれたんなら俺も嬉しいけどさ。だからせめて下着は穿いてってば。
「俺先に食べとくよ」
「着替えてくる」
「うん」
即答して早足で兄貴が自室兼仕事部屋のその部屋に向かう。最初っからこう言えば良かったんだと後悔。そして学んだ。次から兄貴にはこう言う。
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