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体育祭が始まってからは、朝生田と被ってる種目がないってのもあって、あいつと話すことはなく、午前の種目が終わる。
愁は結局開会式後に来た。しかも桂木さんに送られて。間違いなく寝坊だろう。相変わらずなことで。
「ルウちゃんたまご!卵焼き!」
「何個?」
「いっぱい」
昼休憩は、去年と同じで、俺と優さんが弁当係。去年のを教訓に今年は多めに作ったつもりだ。
愁のオーダー通り取り皿に卵焼きを4個くらい乗せてやる。
「わんこ今年は椿さんの所行かねぇの?」
去年と違い、最初から席に座っている俺に桂木さんがそう聞いてくる。
勿論、行くには行く。ちゃんと弁当も作ってきた。ただ、忙しいらしくて昼休憩に入れたら連絡するって午前の部が終わる辺りにメールで言われたから、涼からのメール待ちだ。
「すー、そんで?あの子どこなん??今日きとん?」
「あの子?」
「ほら、噂の不思議な子」
要さんが言っているのは朝生田のことだろう。その問いに肯定の意を込めて頷く。
「不思議な子?」
「何だそれ」
父さんとか、兄さん、それから桂木さんとか。まだ朝生田のこと聞いてなかった人はその話に理解が追い付かず、きょとんとしている。だから軽くだけど、今までのことを説明した。
「…アカネ?」
へー、とか、ほー、とか。初めて聞く人はその程度の反応ばかりだったのに、唯一桂木さんだけあいつの名前に別の反応を見せた。
「零ちゃん不思議っ子のこと知っとん?」
「…さぁ。ただそう言う名前の奴が昔いたなと」
「昔?」
「ええ、もう3年は会ってないんで。…でも違うとは思いますよ」
何でそう言いきれるのか。3年って年月は長くて、人が変化するには十分な時間だ。もし、俺が言った朝生田の像を聞いて違うも思ったのだとしても、断言するには難しいんじゃないだろうか。
「何でそう言い切れるん?」
「…や、だってそいつ女だったし…」
「…え、女?」
「?ええ。結構声高かったし?髪も長さあったんで」
「絶対?」
「…そう聞かれると頷きにくいですけど、流石に女似のショタとロリの区別はつけれねぇっすよ…守備範囲外なんで。それに、まずですよ。どう見ても俺より何歳も年下の奴の股間触ってまで確かめます?」
「ううん…それ捕まんな」
「そうでしょう?」
女。確かにそれじゃあ朝生田と違いすぎるな。まぁとは言っても3年前ってことはあいつ13だから、思春期がそのとき来てなかったら怪しいラインではあると思うが。
桂木さんの言い方はあれだけど、確かめようがなかった、ってのは一理あるよなぁ。俺も触ってまで確かめようとは思わない。本当に女の子だったら俺訴えられるって。そんなん嫌だわ。
「でも、聞いた感じないと思いますけどね。俺の知ってる"アカネ"は良い意味でも悪い意味でもすげぇ素直なわんこタイプ。例え変わったんだとしても"違いすぎる"」
「人の本質はそう変わらないもんなぁ…」
なるほど、性格面でも真逆だな。根の性格はそんなすぐ変わるもんじゃあない。そういうのは、環境の変化だったり、トラウマだったり…そう言うのから長い年月を経て変わっていくもので。
桂木さんの話じゃあ、アカネはアカネでも『朝生田茜』の可能性は低そうだなぁ。
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