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椿は俺のそれに拒む事無く、俺が椿に触れれば触れるほど椿の意思を持っているような舌の動きは激しさを増していった。
その、激しさの象徴とも言える水音が小さな空間に鳴り響く。
長い間やっているのかもしれないし、そこまで時間は経っていないかもしれない。
時間感覚さえも麻痺させてしまう程に、どっちの唾液か分からなくなるまでに夢中になって互いの舌を絡め合った。
喉を通る互いの混ざりあった唾液が、どこか甘く、癖になりそうだった。
「ん…あふ…、ン、…っ、ぅ」
「っ、ん……、…かーわい」
「あっ……」
チュ、とリップ音を立てながら椿が俺の下唇を吸うと、唇が離れていった。
つぅ、と厭らしく光りながら銀色の糸が引いて、プツン、切れる。
それすらも名残惜しいと思わされた。
「…落ち着いた?」
微笑んで、そう尋ねてくる椿。
いつの間にか、不安は消えていた。
小さく頷くと、安堵の表情。そして、「良かった」と俺の頭を撫でてきた。
それを俺は振り払った。それはすると分かっていた後悔から。
こいつとしてしまった行為を、許し求めてしまった自分を殴りたい。
それだけで頭の中が埋め尽くされた。
「落ち着いたらこれね…」
「ちょ、おい…?!」
俺の態度に椿が苦笑いしてぎゅう、と俺を抱き締める。
胸を押し返してもビクリともしない。
やっぱこいつゴリラじゃねぇの。
「なあ、狼…何がお前を"そう"させるんだ」
「あ?」
「俺はお前を知りたい」
そう言い、屋上の時と同様に真剣な眼差しを向ける椿。
椿が何を言いたいのか。
俺の事を知ろうとしている…俺の"傷"を知ろうとしている。
それだけは俺も分かった。
…でも、それとこれは話が別だ。
何で嫌いな奴に教えないといけない。
それに、だ。
「俺はあんたを信じてない」
これは拒絶。
これ以上土足で入ってくるなっていう。
「つーか、知ったところで…だろ」
俺の事を知ろうとしている理由が全く理解出来ない。
俺はお前が嫌いだ。お前との接点は全くない。
俺が、"塵"だから?
お前が”屑”だから?
それで、俺をからかうネタにしたいから?
真面目な顔で言われてもそんなマイナスな理由しか考えられない。
「…守ってやりたい、純粋にそう思ったって言ったら?」
先と変わらず真剣な表情。だからそれが、本気なのだと分かった。
俺が想像していたような、マイナスなものではないと。
けれど、先も言ったように俺がこいつにそう思ってもらう程にやり取りをした記憶はない。
…なら、
「同情か?」
「そうじゃねぇな」
フッ、と小さく笑うと「どう言えば良いんだろうなあ」と1度考え、低くて男らしい声で椿はこう続けた。
ーそうだな。平たく言えば、お前に惚れたー
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