アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
267
-
踏み入れた先には、懐かしい人。
憎んでたはずなのに、ずっとずっと会いたくてたまらなかった人。
記憶の中より少しシワが増えた。
けどやっぱりその人は俺の『お父さん』だった。
「ひ、久しぶりだな。元気そうで.......っ陽?」
「お父さん!!!」
上ずった声で話しかけてくる父さんに俺は思わず抱きついてしまう。
「......っ。お父さんっ......うぅっ......あいたっ、かった.....」
涙もどんどん溢れ出て、もう自分がどんな顔なのか分からないほどだ。
「うっ、お、お父さんっ......ごめっ......おれっ、ずっとお父さんのことっ......恨んでてっ、ほんとはっ、違うのにっ......っ」
「......陽」
懐かしい声で名前を呼んでくれる。
懐かしい温もりで頭を撫でてくれる。
「陽は悪くない。陽を置いて行ったお父さんが悪いんだ。......でも、陽のことを思わない日なんて一日もなかったよ」
「.......っ。お父さん」
「陽、愛してるよ。誕生日おめでとう。生まれて来てくれてありがとう。また会ってくれてありがとうな」
お父さんも、俺を愛しててくれた。
そのことがどうしようもく嬉くて、今までの俺の黒い心が晴れていくような、そんな気がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
267 / 343