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大人の話
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ソファへ体を預けたままぼんやりと部屋を見つめていた。
季節は少しずつ流れてもう10月も9日目か10日目かそれくらいらしい。
昨日一昨日は世間は休日だったらしく、生憎彼もここには来てない。
あんな事があったからと言って俺達の関係は大きく変わった訳でもなく、ただ何となく毎日が過ぎていた。
唯一変わったのは時々思い出したかのようにキスをしたりハグをするくらい。
そんな 平凡な毎日。
今日も眠れずにただ部屋を見つめるだけ。
瞼が落ちてきてくっ付いてはまたすぐに離れてしまう。
「…藍川さん。」
「はーい…?」
「…今日はちゃんと寝てくれましたか?」
「お蔭さまで今からが睡眠時間だよ。」
「あぁ、…そうですよね。」
いつの間にか部屋に上がり込んでいた彼は出会い頭にそう言うとため息をついて俺の前に座り込んだ。
彼がここに来るようになってからどれぐらい経ったのか正確にはわからないけれど、一月半は確実にすぎているはず。
この進歩のなさは怒るのも納得です。
「小波くん怒ってる?」
「…怒ってません。」
「怒ってるよ、声が。」
「はぁ…眠れないのは責めれませんから。…ご飯はちゃんと食べましたか?」
「前に置いていってくれたクッキーは食べたよ。」
「炭水化物と肉と魚と野菜を食べてください…!!」
わかりやすく怒る小波くんをまぁまぁとなだめ、寝返りを打つ。
退屈な夜よりもこの時間の方がよっぽど大切。
小波くんの手の先を手探りで探し見つけ出した指を握る。
「四時間後に起こして。」
「おやすみなさい、藍川さん。」
「…うん、おやすみ。」
彼の指に触れた瞬間、さっきまで弾かれていた瞼が引き寄せられるようにくっつく。
目を閉じて そして夢に溺れていく。
今日も 孤独から救われていく。
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